今月に入って、アフリカの事をまだ何も書いていない。ナイジェリアでも洪水が起こったが、廃棄物などの処理が不十分だったこともあって天災が人災になったとかのニュースもあったのだが、情報不足である。で、アフリカの農業とBOPについて調べていて無茶苦茶良いブログ(今年5月から開始されている)を発見したので、紹介しておこうと思う。
『元居酒屋店員のアフリカBOPビジネス奮闘記』という長い名前のブログだ。長谷川さんというルワンダで農業関係のBOPビジネスをしておられる方のブログである。なかなか面白いし、勉強になる。「アフリカと農業への想い」という私のブログでいう常設ページには以下のようにある。
◆「援助」から「ビジネス」へ
私たちが途上国への「援助」として行っていることのなかには、実は「商売」にしたほうが、もっとうまくいくことがある……15年前、青年海外協力隊としてタンザニアで農業普及員をしていた経験から、私はそんな考えをもつようになりました。農業普及員には、例えば「トマトの育苗技術を普及する」というような普及目標があって、そのために農家むけの講習会を開いたりします。私が一番違和感を感じたのは、そこに参加した農家が「講習会に参加したのだから、お手当を払ってくれ」と言ってくることでした。私は最初、「大変勉強になったから、お金を払いたい」と言っているのかと思い、笑顔で「お金は必要ありません」などと答えていました。しかし、現地スタッフに「逆だよ。参加したから金をくれと言っているんだよ」と耳打ちされて、愕然とした覚えがあります。私はそして「農家が、自分でお金を払ってでも参加したいと思う講習会を開けるようになりたい。それは、農家からお金をもらう立場になることだ。つまり農家むけの商売として、技術やサービスを提供する立場になることだ」と考えるようになりました。これまで「援助」する側にとって農家は、普及や啓蒙の対象でした。でも農家むけの「商売」をするのなら、農家はお客様です。そうであればこそ、農家 が本当に必要としている技術やサービスを必死で追求し、それを農家が払える値段で提供しようとする努力をするようになるのです。だって、農家が受け入れて くれなかったら、自分の商売が存続できないわけですから。
◆「経営」は居酒屋で学んだ
「アフリカの農家が本当に必要としているものはなんだろう?」私はそれが知りたくて、5年間研究者としてアフリカの農村に住み込み、調査を重ねまし た。途上国の農家ですから、いろいろなモノやコトが不足しているのは確かです。しかし、それは人の知恵や行動で補うことができる。どうやら最も多くの農家 に不足しているものは、「経営」と呼ばれるものではないかと結論しました。「農産物を買い叩かれる」「農産物の価格が安定しない」「売り先がない」「もうからない」「雨や気温などの自然条件に左右されやすい」「優秀な若者 が村をでていってしまう」「病気や害虫にやられてしまう」「収穫量が思うように伸びない」「付加価値を付けた農産物を作りたいが難しい」「新しい技術を取 り入れたいが、よくわからない」などなど。途上国の農家の問題と、日本の農家の問題は驚くほど似ています。ただし、日本の農家には手厚い補助金制度があって、それで収入をカバーできます。それにも弊害があって、補助金づけでダメになる農家もあります。補 助金ををうまく活用するためにも、補助金に頼りすぎない農業をするためにも「経営」が大切なのです。私が調査をしていたタンザニアの農村は半農半牧の農業 でした。貧しい家に生まれても、一代で牛を1,000頭以上蓄える農家もいれば、裕福な家に生まれながら、今は牛も持たず小作人として細々と耕している農 家もいました。これもどうやら「経営」の違いではないか、と考えたわけです。でも私は当時、頭でっかちの研究者でしたから、そもそも「経営」とは何なのか、それがよくわからない。そこで研究者をやめて、優れた経営をしている ことが評判だった居酒屋チェーン「ワタミ」に就職して、居酒屋の店員として経営を学びました。それから転職して、月刊『農業経営者』という業界誌の編集者 となり、多くの優れた農家と会うことで、彼ががどのような「経営」をしているのか取材しました。そしてまた、その読者向けに「農家が自分でお金を払って参 加する講習会」を開催する事務局を担当しました。
そして今、ルワンダで微生物資材を製造・販売する企業で働いています。15年前には信じられないことでしたが、最近では「BOPビジネス」という言 葉が浸透して、途上国の人々を顧客としてとらえることが、ある程度の社会性を持つようになってきました。私が働いているオーガニック・ソリューションズ・ ジャパンという会社でも、ルワンダでどのようなBOPビジネスができるのか調査するためにJICAから支援を頂いております。
◆アフリカ農業は世界の最前線
月刊『農業経営者』の編集者をしていた頃、私はたくさんの農業機械、農業資材、種子、肥料などをあつかう農業関係の企業の方々とお話をしました。そ のなかで日本の農業界や、そもそも日本人の胃袋そのものが、将来的に縮小していくことに危機感をもっている方々が、たくさんいました。一方で、世界に目を 向ければ新興国・途上国の人口はどんどん増えており、農業機械、農業資材、種子、肥料のニーズは、どこにでもあります。アフリカはその最前線ではないで しょうか。しかし、これら日本の農業関係の企業が途上国やアフリカに進出している例はほとんどありません。これらの企業のなかには、アフリカをはじめ途上国の 農業に役立つ技術が、たくさんあります。そして高い技術力や経営力のある農家や農業法人もたくさんあります。私のアフリカでのビジネス経験を紹介すること で、一人でも多くの日本の農業関係者が途上国をビジネスのフィールドとしてとらえ、海外進出する参考にして頂ければ幸いです。
この長谷川さん、私が探していた人だ。政治経済の授業で、近々アフリカの農業のまとめとして、ダイヤモンド・ランキングをやろうと思っている。9つの改善点(肥料をまくようにする、農薬をつかうようにする、灌漑設備などのインフラを政府が整備する、農業関係の学校をつくる、BOPで農家が購入できる安価な灌漑設備を販売する)などを提示して、生徒に考えさせようと今、思っている。そこでBOPについて講義したいと考えている。このブログ、注目である。本日より我がブログにリンクしたい。
http://eijipress.co.jp/hasegawablog/
2011年9月4日日曜日
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