小川さんのHPから マチンガと小川さん |
アフリカの都市、特に商業地区には、多くの若者があふれている。ナイロビにも、ハラレにも、そしてワガドゥグにも。彼らは、様々なモノを持って小額にしかならない儲けを求めて行商していたり、露店を開いていたりする。こう言う仕事を、インフォーマルセクターというのである。
アフリカの人々は、農村から都市へ移動することが多い。農業の生産性が低いのが最大の原因だが、『情の経済』という、地縁・血縁による共同体意識を基盤に、農村の実家の食料生産と都市の出稼ぎ者の現金収入にリスクを分散するという生きる知恵でもある。本当は、工業化が進み、安定した雇用があればいいのだが、実際のところはきびしい。そこで、都市に出た若者は日々の糧を得るためになにがしらの現金収入を求めてインフォーマルセクターに滞留するのである。
私は、ブルキナのワガのマルシェ(商業地区)で、Iさんを通じて、インフォーマルセクターにかかわる若者と接したことがある。気のいい連中だった。もし、私がフランス語に堪能なら、もっといろいろな話ができたのにと悔やんでいる。小川さんは、スワヒリ語、それも都市固有のスラングまで駆使してこの本を書いておられる。全く頭が下がるのである。
古着の「梱」 |
*ちなみに、この先進国から古着が途上国へ流れるシステムについては、『あなたのTシャツはどこから来たのかー誰も書かなかったグローバリゼーションの真実』(ピエトラ・リボリ著 東洋経済新聞社)が詳しい。
この梱、だからどんなものが入っているかは、中間卸売り商の運のみである。(もちろんTシャツ、シャツ、スカートというふううに分別されているが、どんな色の、どんな柄の、どんなサイズの…といったことは全くのランダムである。)中間卸売り商は、これをグレード分けする。高く売れそうなグレードA、農村や漁村でしか売れないようなグレードC、その中間がグレードBである。これを、小売商に分けるのである。さあ、ここからが、いよいよ狡知を使ったマチンガ達の世界なのだが、これについては後述したいと思う。
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