まずは、その相違点からエントリーしたい。石原は満州事変の首謀者の一人である。満州事変をどう見るかは、実に難しい。帝国主義の時代であり、日本が対ソ戦略として中国東北部を勢力圏に入れようとしたことは、悪と断じることは簡単だが、この本では、石原莞爾の八紘一宇の理想主義的な面と、戦略家・軍人としての実力、統帥権下の関東軍と参謀本部の確執などしっかりと描いている。問題は、この本では、戦犯指定から逃れた石原は「自分は満州事変の首謀者であり戦犯である。逮捕すべし。」と主張しているという。ウィキでは、戦犯のがれの供述書を書いているとある。どちらが本当なのであろう。もし、この本の通りならば、発狂したとされる大川周明よろしく、東京裁判をかなり混乱させたはずだし、私は意気を感ずる。
石原莞爾は、たしかに異端児である。天才的な戦略、陸軍における無意味な規制の排除、兵への深い思いなど、軍人としては異端児だが、かなりの人物であることは間違いなさそうだ。しかも、皇道派でも統制派でもなく、思想がない東條を批判し続け予備役にされたが、筋を曲げなかった。この点は評価されるべきだろう。
東京逓信病院に入院中に東京裁判の検事たちに、第1級の戦犯はトルーマンとした石原莞爾の主張は理にかなう。配布したビラに、「もし日本国民が軍人に協力するならば、老人、子供、婦女子を問わず爆殺する。」とあり、「国際法では非戦闘員は爆撃すべからずとあるのに、実行した。このような蛮行を行いながら戦犯を作るなど本当に恥ずかしくないのか。」
もし、このような主張を堂々と行った事実があるなら、やはり石原莞爾は大した人物だと思うのだ。
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