この再臨する第12代イマームは、アリー、ホセインとともにシーア派教学の三本柱を形成するほど重要で、信者の宗教生活における緊張感は、マフディー到来への期待によって持続される。マフディー到来の年は確定できないが、イスラム暦1月10日(フセイン殉死の日)というのが有力である。フセインがイエスが果たしたような罪の償い的な役割を購うという意味合いがあるようだ。
再臨は、夜明け頃、メッカのカーバ神殿で再臨すると信じられ、先立って天変地異(日食や月食)が起こるとのこと。外見は若者で、黄色のターバンを被り、羊を導く杖をもつ預言者風。だが誰一人気づかない。日が暮れると、天使ガブリエルとミカエルが降りてきて語りかけ、祝福の宣言を行う。夜が明けるまでに、真の信者313人(ムハンマドがメッカ軍と戦ったバドルの戦い参戦者数)が集合、さらにホセインと共にカルバラーの戦いで殉死した72名が加わる。さらに一説によれば、黒のターバンを唯一被ったホセインとアリーの従者12000人が随行する。人々に忠誠を求めた後、手から光が輝き出て、クルアーン48章10節を伝える。そしてカーバ神殿を破壊し再建することに取りかかる。(以前の邪悪なものを根こそぎにする。)その後、メディナに進み、アリーの都・クーファへ進む。近郊のカルバラーにも多くの人が集合する。さらに伝承によれば、この日、天から5000人の天使が下ってきて、さらに正しい人々の名を記した剣が天より下がり、神の戦いが始まる。これは、画期的な世直しの契機である反面、あくまで復活・最後の審判に至る直前の出来事である、と。
なかなか興味深い話で、これまでほとんど知らなかったシーア派理解、しいてはイスラム理解が少し進んだ気がする。最後に超重要だと思われること。十二イマーム派は、先日記したように、シャリーアの体系の最後・キャースが理性に置き換わっている。イラン革命以後、宗教指導者(ウラマー)の専制支配が続いているが、この裏付けとなるのが、ウラマーの理性への法体系的信頼であることだ。マフディー再臨まで、ウラマーが頑張っていくということなのだろう。
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