今回少し驚いたのは、クルディスタンの地域にユダヤ人コミュニティーがあり、かなり親密な関係を築いた歴史があるようだ。特にイラクでは1940年代に反ユダヤ政策が取られ、ユダヤ教徒の脱出(イラン経由の移民空輸作戦が行われ12万人が脱出)が続いた。その中に現在、エルサレム近郊に15万から20万人近いクルド系のユダヤ人がいるとされるそうだ。クルディスタンとユダヤの関係は、イスラエルとの関係に置き換えられ、イスラエルのクルド支援という関係が続いている。
1966年8月、イラクに配備されたソ連製のミグ21戦闘機をイスラエルが奪うという事件がおきた。キリスト教徒のパイロットがミグを操縦してイスラエルの空軍基地に着陸したのである。もちろんモサド(イスラエルの諜報機関)の作戦で、クルド空爆の任務を与えられたことに耐えきれずの決断だったという。家族も奇形実行の日、ピクニックを装ってイラン国境を超え、空路イスラエルに入国した。このエスコートをしたのはクルド人組織だったという。
イスラエルにとって、クルディスタンをパートナーに持つことの意味は大きい。クルドのペシュメルガ(イラク領クルディスタン自治政府が保有する軍事組織)をイスラエルの軍事企業が訓練しているという事実もあるようだ。2015年には、イスラエルがクルド原油(イラクの有名な油田地帯・キルクーク産のものかと思われる。)の1/3を購入したと話題になった。イラク政府とクルディスタン自治政府の対立で、イラク政府が買い手に強硬姿勢を取るようで、クルドの原油は格安のようだ。歴史的な親近感だけでなく、実利的な問題もあるようである。
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