2023年1月22日日曜日

デネットの自然主義

https://www.youtube.com/watch?v=hx_0rNdnCYk&ab_channel=tekumuse
現代哲学者10人の中から、次ににエントリーするのは、デネットである。分析哲学、科学哲学の教育を受けたデネットは、現代アメリカの哲学界にかなりの影響力を持っている。彼は自分自身の哲学を「自然主義」と表現している。この自然主義は、自然科学的な方法に基づいて、哲学の問題を解決、あるいは考察する立場で、これまでの意思の働きなどは自然科学的・生理学的な話とは全く異なると考えられてきたのに対し、人間の行動スタイルは自然科学的に説明が可能とする。これは、遺伝子理論、神経科学(日本では脳科学と呼ばれる。)、さらには認知科学などの進化によるもので、デネットは、これらを無視して哲学理論を構築することはできないと主張する。よってデネットはこれらの知識を得て専門家と対話しながら哲学を形成している。

ところで、ネーゲルという哲学者の「コウモリであるとはどのようなことなのか」という論文以来、「クオリア(質)」が問題となった。コウモリは目を持たないが、音を発してその反射に基づいて行動する。この状況を自然科学は説明できるが、それがコウモリにとってどのように感じられているかは別問題だという話で、それを自然科学的には説明できない。この感じ方がクオリアである。デネットは、少なくとも自然科学的に説明ができたら、それがクオリアであり、それにプラスアルファしてクオリアがあるわけではないと考える。哲学は、このプラスアルファにこだわっており、神秘化してしまうので止めようというわけだ。

自然主義には、2つの立場がある。1つが消去主義者。心のあり方など内面は存在しない、あるいは全てを自然科学的に証明できるという立場である。デネットは、この心のあり方、たとえば自由を否定しない。自由な行為と思われているものをどういう風に説明するかが問題である。自由もクオリアも自然科学的に説明しようとする立場である。ちなみに、本日の画像はYou Tubeのものである。ここでは「多元的草稿モデル」とか「並列式のハードウェアをベースに非能率的な形で営まれる直列式の仮想機械」とかいう話が出てくる。短い内容なのでちょっと覗いていただけたらと思う。

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