2023年1月21日土曜日

ローティの言語論的転回

https://partiallyexamin
edlife.com/2017/01/02/ep
155-1-rorty-epistemology/
これまで、倫理の授業では、ヘレニズムとヘブライズムを根っことして成長した「西洋哲学の木」を基軸としてすっと教えてきた。イギリス経験論と大陸合理論がありカントで合流し、ドイツ観念論、ヘーゲル哲学で近代哲学は完成する。その後、ニーチェなどの生の哲学、マスクス主義、実存主義がこのヘーゲルの理性主義に反発する。これが現代哲学の流れで、その後の構造主義やポスト構造主義は、この西洋哲学の木を根底から破壊しようとする。ソシュール、フロイト、レヴィ=ストロース、さらにフーコー、ドゥルーズ、デリダと散々に、コギトやロゴスを否定していくわけだ。後半戦は、フランス現代哲学を中心に置いてきたのである。このほうが、哲学の木の成長と破壊という図式になり、わかりやすいからだ。フランクフルト学派やフッサール、ウィトゲンシュタイン、プラグマティズムなども付け加えていたが、途中で時間は尽きるといった感じである。今回、現代哲学者10人の中から、最初にエントリーしようと思ったのは、ローティである。(資料集には、現代政治思想のページに小さく載っている。)

ローティは、アメリカの分析哲学の哲学者である。分析哲学は、イギリスのラッセル、オーストリアのウィトゲンシュタインが有名である。要するに、言語の論理的分析によって哲学的問題の解決を図ろうとするもので、形而上学的な対象を排除するものだ。イギリス経験論の伝統から、英米では分析哲学に移行していったわけだ。ローティーは、「言語論的転回」という分析哲学の方法論の本の編集してデビュー、この語は彼の造語ではないが、一般的になった。それ以前の哲学の意識や認識とは全く違う哲学の出発点として認知され、20世紀の哲学の代名詞のようになった。たしかに、分析哲学に限らず、構造主義にしてもハイデガーにしても結局は言語であり、言語に着目してきたのが特徴であるといえる。

ローティは、この言語的転回に基づいてプラグマティズムを復活させようとした。(ネオプラグマティズム)ちょうど、政治哲学ではロールズの「正義論」が大流行していた。そこで弱者救済の理論のリベラリズムを取り入れ、アメリカの民主主義を強調したプラグマティズムと融合させようとした。資料集の政治思想のページに掲載されているのはそういう理由のようだ。資料集にはこうある。『伝統的な哲学が覆された後に必要な哲学は、伝統的認識論を批判する立場(アイロニー:装われた無知)とともに、現実的にも社会的実践を支える立場(リベラリズム)を兼ね備えるものである。』

…分析哲学のローティをまずエントリーしたのは、最新の現代哲学の状況を俯瞰する必要性からである。

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