2023年1月4日水曜日

橋爪大三郎「アメリカの教会」

日本を代表する宗教社会学者・橋爪大三郎氏の新刊「アメリカの教会 キリスト教国家の歴史と本質」(光文社新書)を読み進めている。この新書は、電話帳のように分厚い三冊分のケンブリッジ大学出版会から出ている「アメリカの宗教の歴史」と同じく分厚い四冊分の「アメリカの宗教・百科事典」を依処に書かれている。よって、(いつもの読みやすい)橋爪大三郎的文章ではなく、かなり教科書的な色彩を帯びている。

私は、倫理の教師なので、キリスト教についての基礎的な知識、また世界史に登場するアメリカの歴史、地理で教える各州の人文地理的知識もある。たとえば、ピューリタン(イングランドのカルヴァン派。スコットランドのカルヴァン派はプレスビテリアンと呼ばれる。ちなみにオランダはゴイセン、フランスはユグノーと呼ばれる。)がニューイングランドに来て”ピグリム・ファーザーズ”というアメリカ創始伝説になっているとか、このカルヴァン派は、予定説を教義としており、会衆派と長老派に分かれているとか、ペンシルバニア州は、クウェーカー教徒であるウィリアム・ペンが拓いた宗教的寛容の州であり、アーミッシュが今なお昔ながらの暮らしをしているとか、NYCは、ジューヨークと呼ばれるほどユダヤ教徒が集中しているとか、メリーランド州はカトリック教徒が多いとか、バージニア州出身のジェファーソンは、憲法を起草する際に英国国教会を国教としなかったとか、中西部のドイツ系移民が多い州ではルター派が多いとか、ユタ州はモルモン教徒が多く、グレート・ソルトレイクを死海に見立てたとか、アメリカで実は最も多い宗派はカトリック(アイルランド系やイタリア系などを中心に後世移民が増えた。)で、プロテスタントでは、バプティストが最も多いとか、またある本では、同じ家系でも、バプティストからメソジスト、さらには英国国教会へと、収入やポストが上昇するにつれ世代を通じて改宗することがあるらしい、などである。

実際、NYCではシナゴーグをまわり、安息日の礼拝にも参加した経験があるし、ハーレムにあるバプティストの礼拝でゴスペルを聞いたりもした。M高校の研修旅行で訪れたアイオワ州では、姉妹校のM先生(ドイツ系)に連れられ、ルター派の教会に行った経験もある。ちなみに、このM先生の奥様は、アイルランド系でカトリックだと聞いた。夫婦なのに行くべき教会が違うのである。

今回、本書を読んで、かなり深い歴史的事実が載っていた。慌てず少しずつエントリーしていこうと思う。

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