文春文庫で内田樹先生の「最終講義」が出ていたので読んでみた。神戸女学院大学での「最終講義」、京大での「日本の人文科学に明日はあるか」など7編の講演が掲載されている。文庫本としては新刊なので、あまり詳しく紹介するのが憚れるのだえが、相変わらず鋭く、そして何度も膝を打つ内容である。これらの講義を一読しての、私の最も感じたコトだけを述べておきたい。
…内田樹先生の教育論は、極めて反商業主義的である。この立場は、全編に貫かれている。私も現在の学校教育は、公立も含めてビジネス化=等価交換の原則に支配されていることに改めて気づかされた。その最大の象徴は内田先生ご指摘のシラバスであろう。大学の講義の細目をパンフレット化したシラバス。実は公立高校にもそれは一般化してきている。生徒や保護者は、あらかじめ教育する側の商品価値を知った上で授業料を支払うカタチになっている。(公立高校でも、最近は無償化から、一歩進んでなにやら複雑な収入による段階的な制度になったらしい。)どちらにせよ、教育行政の考えていることは、内田先生の言われる「学ぶことのワクワク感」からどんどん遠くへ離れていこうとしている。シラバスを私は全面否定しないが、その授業、授業で生徒の基礎学力や向学心の雰囲気で進度は変化するのは教育現場の”あたりまえ”である。当然、無計画な授業などありえないが、教師側にも教えるワクワク感が必要だ。ビジネスライクに、授業料と等価交換するのが、教育ではない。
2015年7月4日土曜日
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