2015年7月22日水曜日

現代アフリカ経済論 学習ノート11

http://zaraimedia.com/2013/09/13/idb-assist-punjab-government-agriculture-projects/
イスラーム金融の話は度々聞くのだけれど、金融資本は利子によって儲かるわけで、利子を取らないシャリーアの規定と金融資本は二律背反していると言って良い。では、どういうシステムになっているのか?長らく謎だったのだが、昨日第10章を読んで判明した。こういう長年の謎が解けることは実に嬉しい。と、いうわけで、現代アフリカ経済論のエントリーを続けたい。

イスラームは各時代の状況に対応して変化してきたという。とはいえ、現在もリバーを利子一般と解釈することが支配的だそうだ。オイルマネーによる金融資産は現在の国際経済システムの中でどう動かされているのか。

イスラーム金融は伝統的な商取引法を応用した多くの金融商品を開発しているのだ。代表的なものは、パートナーシップに基づくムダーラバ、売買契約に基づくイジャーラ、賃貸契約であるイジャーラなどである。

ムダーラバとは、企業の実施する事業のパートナーとして金融仲介機関が資金を提供するもので、あらかじめ合意した割合にしたがって、金融仲介機関と事業者が利益(または損失)を分け合う。利益または損失を両者で分配することから、損益分配方式といわれる。

一方、ムラーバハは、金融仲介機関を通じて財を購入するもので、まず金融機関が顧客に代わって財を取得する。顧客は、財の代金にマークアップ(値段の差額)を上乗せして金融機関から分割払いでその財を購入する。現在、イスラーム金融による資金融資の大部分がこのムラーバハとなっている。

イジャーラは、賃貸借(リース)に相当するもので、金融仲介機関が購入した財を顧客に貸し出すことでリース料を得る。

現在、サブ=サハラ・アフリカで事業展開しているイスラーム金融機関としては、ファイサル・イスラーム銀行(スーダン・ギニア・セネガル・ニジェールなど)、アル=バラカ・グループ(:ABG、スーダン、南アなど)があり、いずれもサウジアラビア資本である。また利子を扱う銀行においても、イスラーム金融方式に特化した支店をおく場合もある。南アのスタンダード銀行は、2010年にタンザニアで金融窓口を開設した。さらに、開発系の金融資本としてイスラーム協力機構(OIC)が母体となったイスラーム開発銀行(IsDB)がある。主要出資国は、中東・アフリカの産油国(ナイジェリアが入っている)で、ラバト(モロッコ)とダカール(セネガル)に地域事務所を開設している。カメルーンの水力発電事業に融資するなどインフラ整備や貧困削減などの中長期的プロジェクトに融資している他、農業生産性の向上、教育分野の拡充にもあたっている。90年代後半以降は、マイクロファイナンス事業への支援を積極的に行っている。ベナン、カメルーン、ギニア、マリ、セネガル、チャドなでの支援実績をもっている。

その他にも、セネガル、ガンビア、ジブチなどで、中東産油国と現地資本の合弁でイスラーム銀行が開設されているし、前述の南アのスタンダード銀行のように西欧資本の非イスラーム専業銀行がイスラーム金融の窓口開設を進めている。

アフリカにおけるイスラーム金融の広がりは、既存の経済システムの代替というよりは、ムスリムを対象とするビジネスの試み、あるいはイスラーム社会への経済協力という色合いが強いのが現状である。

…イスラムの金融制度、なかなか面白いと私は思う。昨日もエントリーしたが、イスラム経済には倫理性が前面に出ている。資本主義のモラル・ハザードが叫ばれている中で、ますます注目されていくに違いない。

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