先日、奈良教育大学での講義のためにアフリカの資料を探していたら、思いがけず面白い資料を発見した。アメリカの50州のGDPを同等の他の国の国旗で表したものだ。こうしてみると、アメリカのGDPの巨大さがよくわかる。
カリフォルニア州はブラジル。テキサス州はオーストラリア、ニューヨーク州はスペイン、イリノイ州はサウジアラビア。この辺だけでも凄いなと思うわけだ。フロリダ州はオランダ、アラスカ州はルクセンブルグ、さらにスウェーデンと同じなのが、オハイオ州とニュージャージー州、フィンランドと同じなのがコネチカット州とルイジアナ州。さらにペンシルベニア州はスイス、メリーランド州は南アである。ワシントン州はオーストリア、オレゴン州はポルトガル、ネバダ州はハンガリー。コロラド州もシンガポールと同じである。
一方で、モンタナ州はガーナ、ワイオミング州はケニア、アーカンソー州はアンゴラと同じくらい。州のGDPの格差はかなり大きいわけだ。
この地図を見て、ヨーロッパ合衆国を目指したEUと比べてみる。EU全体としては、自由貿易や投資が進み、経済が活発化しており、今やEU全体として見た場合、GDPの総額でアメリカに肩を並べたという。ただしEUの中でもユーロを使わない国もある。なかなか意味深長である。
というのは、この共通通貨、なかなかの曲者だからである。ドイツのような国際的な比較優位をもつ国は、通貨を安く抑えられるので輸出には大いに有利である。しかし、ギリシアのように国内産業に比較優位のない国にとっては普通、自国通貨の切り下げで競争力を取り戻すのだが、共通通貨ではそうもいかない。
アメリカは、やはり国民国家として、国民的な資質(プロテスタンティム的な資本主義が普遍的真理である。)がまとまっているので格差があっても、そう大きな問題にはならないが、EUは南北ヨーロッパではで国民性があまりに違う。我々勤勉な国民性の日本としては、ギリシアの国民投票に理解が及ばないし、ドイツの苦悩に大いに同情するところだが、労働を奴隷のものとするギリシアの国民性は(ヨーロッパ諸国が尊敬するほど)長い伝統がありすぎる。この国民性の違いは、どうしようもないほどの壁となっている。
…うーん。やはり人は石垣、人は城なのだ。私はEUの再構築は必然のような気がする。
2015年7月7日火曜日
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