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面白かったのは、「もし宇宙人が地球にやってきたら、イスラムではどのように対応するのか?」という問いに、中田氏はこう答えた。「まず宇宙人が食べれるか食べれないかを判断します。」そのときは冗談だと思った田中氏だが、エジプト人のメイドさんが、幼い息子に動物図鑑を見せながら「これは食べられる。これは食べられない。」と言って教えていたのに遭遇する話だ。イスラム的な枠組みでものを見るというのはそういうことらしい。
田中氏はこう中田氏を評する。「中田さんのイスラームは、ことさら寛容を強調して西洋の価値観に歩み寄ろうとするような物分りの良い世界ではない。むしろ、イスラームは他の宗教とは決して分かり合えない、価値観を共有できないところから始まる。しかし、その視点がなければイスラムが形骸化してしまう、そんな根っこのようなものに彼はふれているのだと感じた。中田さんの説くカリフ制は、イスラム世界の内部に抱え込まれた西洋をアンインストールし、人や物や国家や国境という枠組みに縛られることなくオープン化していくダイナミックな理想主義だ。」
この田中真知氏の解説のタイトルは、「ピラミッドのある世界とない世界と」である。アニメ映画「風立ちぬ」で登場するカブローニが二郎に「君はピラミッドのある世界とピラミッドがない世界と、どちらが好みかね?」と聞くシーンから取られている。その前提で、中田氏の唱えるカリフ制は「ピラミッドのない世界」だと田中氏は結んでいる。
…この田中真知氏の言う「ピラミッド」、実に深い。私も中田考氏のイスラム観・カリフ制のことを知れば知るほど、まさにそうだと思う。この謎解きは、是非本書を読んで確認して頂ければと思う。
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