2015年6月17日水曜日

「灰の記憶」を見る。

妻は、このところポーランド・アウシュビッツ行きを控えて、ホロコーストの勉強に余念がない。DVDを借りてきてどんどん見ている。今日は、「灰の記憶」という映画を見ていた。今回のエントリーは、その内容についてエントリーするので、見る予定のある方は、読むのを止めていただきたいと思う。

この映画は、アウシュビッツの近くにあるビルケナウ収容所の実話である。運ばれてくる同胞を、音楽を演奏して迎え、衣服を脱がせ、ガス室に送り、その後女性の髪の毛を剃り、焼却炉で焼くという一連の流れを行っていたコマンドと呼ばれた男たちの話である。

この非人間的な物語は、ドイツのSS(親衛隊)のヒムラーが行っていた人体実験に関わっていたユダヤ人医師の手記を元にしている。コマンドたちは、これらの非人間的な任務の代償として生き延びていた。だが、彼らの生き延びる意味とは何だったのだろう。彼らは、軍需工場で働かされている女性コマンドから火薬を入手し、暴動を起こし焼却炉の爆破を目指す。

この物語のタイトル「灰の記憶」は、ガス室で生き延び、医者とコマンドに助けられた少女の「記憶」である。彼女も結局暴動の後、ナチに殺されるのだが、それまで一言も話さなかった彼女の声で「灰」として語りかける。そこにこの映画の全てが凝縮されている。

幾度となく、残酷な処刑のシーンが続く。全くといっていいほど救いのない映画である。だが、ホロコーストの実体はまさに救いがないので当然であるのだが…。

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