2014年12月23日火曜日

ソマリランドの貴重な映像を見た

TV東京のHPより 両替商の前に紙幣の山
昨夜、めったに見ないTV大阪(TV東京系列)を見ていたら、キューバとソマリランドのレポートをやっていた。日経がスポンサーの固めの番組である。TV大阪系列の海外紹介番組は、やたら「秘境」などと形容して不愉快なものが多い(本年2月10日付ブログ参照)のだが、このような真面目な番組もやっているとは知らなんだ。

特に、ソマリランドの映像は極めて貴重なものだ。前半部は、ソマリランドは未承認国家であるという基本命題が中心に据えられており、首都ハルゲイサの両替商が莫大な自国紙幣の束を中央銀行から一輪車で運ぶシーンなど、考えられないほどの治安の良さを実感できた。また、カート(合法ハーブといったらいいのかなあ。)の実物を動く映像で見れた。子供たちの顔には、平和を享受する笑顔があり、主産業のらくだの取引現場もなかなか貴重な映像だと思う。

地元TV局の税所氏へのインタヴュー
後半は、税所篤快氏(あのバングラで活躍する教育支援のNGOの25歳の若き傑物だ。)が登場する。番組のナビゲーターである米倉誠一郎・一橋大学イノベーション研究センター教授を学長とするソマリランド初の大学院設立プロジェクトの密着取材だった。意外に、と言っては失礼だが、ソマリランド政府の中枢を占める人々は気さくで物分りがよかった。もちろん、アフリカの他国同様ビシッとスーツで決めていて威厳を演出してはいるが、人口も2010年現在の推定で420万人というから、北海道と四国の中間くらい。知事さんといっては失礼だがそれくらいのフットワークの良さがある。(私がJICAの教員視察で接したケニアの国家官僚とは大分違う。)元イギリス領だったこともあって、英語がある程度通じる。税所氏の英語は決して発音が美しいわけでもない。あくまで道具としての英語だ。情熱でどんどん押していく。彼の大学院設立セレモニーでのスピーチ。「母にソマリランドに行くと言ったら、ソマリアはあぶないからやめなさい。いや、ソマリランドだよ。だめ、ソマリアは危ない。」には、現地の入学生と共に私も大いに笑えた。彼こそが、一流の地球市民である。

…番組の中で、米倉氏がソマリアが未承認国家であり続けている事は、現在の世界の体制の安定を望む国家間の問題だと指摘されていた。もし、ソマリランドを認めたら、コソボをはじめとした新しい民族国家(おそらくバスクやクルディスタンなどもその範疇に入るだろう。)が我も我もと独立を認めよといってくるだろうと。それは容易に理解できる。だが、以前エントリー(2013年6月16日ブログ参照)したように、私は「謎の独立国家ソマリランド」の著者、高野秀行氏が指摘する「ソマリランドの独立を認めること」が、内戦に明け暮れる(南部の首都のある)ソマリア、海賊行為を行っているブントランドとの関係性から、国際的にも極めて有意だと思うのだ。

…改めて、ソマリランドの映像を見て、そう思ったのだった。税所氏・米倉氏のこれからの益々の活躍を期待したい。
http://www.tv-tokyo.co.jp/zipangu/backnumber/20141222/

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