高校ラグビーの聖地・花園 |
相手は同じ大阪市立のM工業高校。強豪であり、古豪である。いつもいっしょに観戦している事務のY先生に、「M工は体格が良いですねえ。」と言うと、「公立にしては、いいほうですね。私学などでは、体重を増やすための合宿なんかして、一気に10kg増やすとかしてるみたいです。」…その10kgは私のような脂肪ではなく、筋肉なんだろうなあ。
M工は、その重量フォワードをうまく使ってきた。モールに持ち込んで、ボールをキープしている選手をフォワードが押しこんでいく。どちらかと言えば、本校のラグビー部の持ち味は、バックスのスピード勝負なので、こういう展開は分が悪い。モールの押し返しに人数を集めると、左右に展開されてトライされてしまう。オイオイ、押されてるぞ。と言う間にそのまま押し切られトライされてしまった。この調子で、大差がついて負けてしまうのだろうか。以前60点差をつけられたとも聞いている。ところが、本校が主導権を握ると、スピードのあるバックスがうまく斬り込んでいき、トライ。混戦でもうまくボールをつなぐのだ。1年前、私学のD高校にボコボコにやられて1トライも奪えなかった頃とは違う。あきらめない。ついにハーフタイム前には同点に追いついた。取られたら取り返す。いいぞ。
しかし、後半こそが凄かった。例のモールで押し込む戦術で2トライを奪われてしまったのだ。しかし本校も必死で攻め続ける。ゴールラインまであと少しというところで、大混戦となった。ラックからボールを繋ぎ、つぶされ、辛抱し、またラック。ホイッスルは全然鳴らない。ひたすら本校が攻め、M工が守る。ラックの後方、ゴールラインにはゴールを死守すべくM工の生徒が低い体勢で構えている。そこに何度も何度も攻めていく。まるで、ギリシアの重層歩兵のような戦いだ。5分ほど、こう着状態が続いた。Y先生は「ここが勝負どころです。点が入れば、こっちにゲームが動く…。」と解説していただいた。わかる。ここで入れるかどうかだよなあ。ところが、鳴ったホイッスルは、無念にも「M工ボール」だった。(どういう状況かはよくわからなかった。)
あれだけ攻めたのに、ついに守りきられたのだった。その後も本校フィフティーンは、集中を切らさず頑張ったのだが、結局24対12で敗れてしまったのだった。
キャプテンのK君が、応援してくれた皆さんに挨拶した後、凄い表情で座り込んでいた。悔しいのだろう。そして、次に自分たちが勝つために何をすべきか、キャプテンとして深く考え込んでいるように見えた。いいぞ。キャプテン。私は、自分の教え子に、またひとつ大事なことを教えてもらった気がする。
0 件のコメント:
コメントを投稿