2012年5月12日土曜日

系図で英国教会の流れを説く

西欧初バツ1・カザリン
この1週間は、ひたすら中間考査の問題つくりに時間を費やしたのだった。空き時間があると机上のパソコンに向かい、コツコツと問題を増やしていく。世界史Bの範囲は、中世の概説、大航海時代、ルネサンス、宗教改革から絶対主義への流れといった西ヨーロッパの中世から近世の範囲である。

このあたりは、やたらナントカ3世とかいう名前が多い。生徒も、何が何やらこんがらがってしまうところだ。(笑)で、昨日は、黒板に系図を徐々に書きながら、イングランドのヘンリー8世の離婚(宗教改革の1つ英国教会成立の話である。)とスペイン、神聖ローマとの関わりを説明したのだった。

主役となるのは、ヘンリー8世とともにカール5世である。このカール5世は、父方が神聖ローマ帝国皇帝を輩出(選挙で選ばれているトコロがミソだ。)するハプスブルグ家の血を引いている。と、系図を書く。一方で母方の方は、コロンブスを派遣したイザべラ女王の血を引いているので、カルロス1世というスペイン国王でもある。

一方、ヘンリー8世が離婚したがった「カザリン」(高校教科書ではこうなっている。生徒に、英語読みしてごらんというと、勘で「キャサリン」という正解が返ってくる。)なぜ、キャサリンではないのか?ここが面白い。このカザリンはイザべラの娘で、カール5世(=カルロス1世)から見れば叔母さんにあたるわけだ。ヘンリー8世はカザリンの侍女だったアン・ブーリンと結婚するが、飽きてロンドン塔で刑死させる。ヘンリー8世は「バツ6なのだ。」というと、女子生徒は大体「勝手なオトコですねえ。」と反応してくれる。全く、好きなように生きたオトコだよな。この後を継いだ息子(エドワード8世だが、黒板にはあえて書かない。系図は簡素な方がわかりやすいからだ。)は早くして病死した。その後を継いだのが、メアリー1世。刑死したスペイン出身の「カザリン」の娘である。彼女は、カトリックに改宗し、英国教会を迫害したのだった。この辺、女子生徒はかなり理解を示す。とんでもないオヤジ(ヘンリー8世)に対する憎しみを実感できるのだ。

「血まみれ」メアリー1世
このメアリー1世と、カール5世(カルロス1世)の息子であるフェリポ2世が結婚するのである。地図を横に描いて、カール5世・フェリポ2世が支配している地域を示すと、生徒が「おおっ」となる。フランスを囲むように広大な地域になる。イングランドでは、その支配下におかれることを危惧したし、フランスはイタリア戦争でこの包囲を抜け出そうとするのだが、ちょっと予告編も語っておく。幸か不幸か、このメアリー1世は5年で死去した。英国教会への凄い弾圧で「血まみれメアリー」と呼ばれた怖い女王だったわけだ。

その後を継いだのが、ロンドン塔に幽閉されていたアン・ブーリンの娘、エリザベス1世になるのだ。彼女は、その後スペインを海賊を使ってボコボコにやっつけるのだ。

なんかTVドラマみたいな話だが、この系図を元にすると、さらにルソーの宗教改革やフッガー家との関わりや大航海時代など様々な展開ができる。世界史の勉強って、こういう気付きが大事だと私は思うのである。

普段、私はプリント授業なので、あまり板書を写せなどという指示はしないのだが、徐々に書き増やしていくとわかりやすかったらしい。「なかなか面白かった。」という生徒の言に満足したのであった。

2 件のコメント:

  1. 系図を使った授業…参考にさせていただきます。やっぱり、嫉妬、ねたみ、不倫といったテーマで話をすると(世界史は満載ですからね)生徒の食いつきはいいようです(笑)

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  2. 非常勤講師さん、コメントありがとうございます。このエントリーは非常勤講師さんを念頭に書きました。(笑)また面白い授業の話題あれば書きますね。

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