2012年5月31日木曜日

日経のエッセイ「れんこんの穴」

モーニングで今日も日経を読んでいたのだが、最後のエッセイが面白かった。某企業の社長さんの寄稿だった。およその内容を伝えたい。

この社長さん、ガールフレンドでもなかった中学校の同級生である女性と今でも付き合いがあるのだという。名前もフルネームで出ていたので、どんな有名人なのかと思いきや、ある中学校の購買部のオバサンを長く務めている方で、誰よりもその中学校のことを知る「影の校長」と呼ばれているらしい。同窓会の幹事も常につとめていて、要するに世話やきのオバサンらしいのだ。社長が、アメリカに赴任した時、他の女性の同窓生2人とともにやってきて、ショッピングで英語も使わずまけさせたという武勇伝も載っていた。

その方から、社長に就任して以来、毎年れんこんが送られてくるのだ、という。「社長になったんだから、先が読めないと…。」という意味らしい。たしかに、れんこんには大きな穴もあるが、小さな穴もある。社長は、そういう小さな穴も見通すことも大事だと思っている。というようなエッセイだった。

面白かった。大企業の社長が、知人とはいえ一般庶民のオバサンの箴言を大切にしていることが凄いなあと思うし、こういう人って素敵だなと思うのだ。

先を読む。…重要なことだ。厚生労働大臣が、某有名芸人の母親の生活保護の報道を受けて、親族が扶養できる場合、生活保護を打ち切る方向性の通達を出したおかげで、各地方自治体の現場はパニックになっているという。どこに親族の収入を調査するだけの人員がいるのだろうか。その説はごもっともとしても、現場のことをちょっと落ち着いて考えればわかる話ではないか。最近公務員に対して、ヒステリックなまでに攻撃が加えられているように思う。社会の閉塞感が生んだものかもしれないが、攻撃を加えられている側はたまったものではない。

まして、特別支援の必要な児童・生徒への科学的な認識が全く欠如した条例を押し付けようとした輩に、公立学校の教師は公務員である、特別視しないなどと言われると、門外漢の私でも、基本的な法律論を出して反論したくなる。我々は、教育公務員であって、単なる公務員ではない。たしかに地方公務員法の適用はうけるが、教育公務員特例法によって、その職務と責任の特殊性に基づき様々な規定を設けられているというのは常識だ。また7つのラッパ(昨日のエントリー参照)がなっている。どこまで、教師の尊厳をふみにじるのだろうか。それがどういう結果を生むか、先のことを読んでいるのだろうか。私は甚だ疑問に思う。

じっくりと穴を見つめて、れんこんを食べるべき時であろう。

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