2011年12月2日金曜日

釜山HLF4の成果文書

先日(11月30日ブログ参照)エントリーした釜山のHLF4の報道は、かなり少ない。私は、かなり重要なニュースだと思っているのだが、残念至極である。自宅で取っている毎日新聞にはなにも載っていなかった。ちなみに日本経済新聞は、国際面の小さな記事だが『中国やインドなど新たな援助国と先進国が開発援助の効果向上を目指した行動原則をある程度共有することで合意した。先進国はひも付き援助の解消加速や、3~5年間の援助支出計画を可能な限り2013年までに公表することでも一致した。』と報道している。(今朝はモーニングで読めなかったのでコンビニで買い求めた。)

意外に大きく報道したのが、朝日新聞。このHLF4の報道は、日経と違ってこの1回でまとめたようだ。おおむね私が先日書いたような会合の説明の後、こう報道している。『中国とインドは当初、消極姿勢をみせた。このため「先進国が時間をかけて作った決まりにすぐ従うことはできない」(中国政府関係者)という主張にも配慮。新興国にとって援助の改革目標は「自主的な取り組みとする」との文書を加えた。背景には、中国などがアジアやアフリカで展開する援助で「本国から労働者を連れてきて、地元には技術移転や能力向上をもたらさないし、その効果にも関心がない」(日本の外交官)などの懸念がある。文書は企業や財団、NGOなどを新たな途上国支援の担い手(パートナー)と位置付け、同様の取り組みを求めた。』とあった。(学校の新聞をコピーしておいた。)

実は、私が知りたかったのは成果文書の詳しい内容だったのだが、WEB上では、外務省のHPで成果文書のポイントだけ記してあった。
①国際社会の開発目標を達成するため「主体性の尊重」「成果重視」「幅広いパートなーシップ」「援助の透明性と相互説明責任」などの共通の原則に合意。
②上記の目標を達成するため「カントリーシステム(途上国の制度)の活用」「ジェンダー平等化の加速」「アンタイド(援助がひもつきでないこと)化の加速」「透明性・予測性の促進」「援助の拡散・断片化の抑制」「脆弱国における持続的開発」等について合意。
③「三角協力・南南協力」「民間セクター」「汚職対策」「気候変動基金」など開発分野での幅広い協力の重要性について確認。
④釜山後のモニタリング体制として、「効果的開発協力のためのグローバル・パートナーシップ」を設置し、モニタリング指標等を今後策定。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/honsho/seimu/nakano/hlf4.html

要するに、中国やインドなど新興国も、とにもかくにも「主体性を尊重」するという条件付きながらMDGs実現に向かって貧困削減に向かうという原則に合意したわけだ。中国のアフリカとの関係を考慮に入れた”アンタイド化の加速”とは、まさに外交文書らしい表現だ。

こういう国際間の取り決めは、かなりの労力が必要だ。おそらく水面下で様々な折衝が行われたのだろう。地球益と国益の狭間で、関わった方々の苦労も大変だったろうと思う。地球益で動いているNGOの方々には大きな不満が残ったことだろうが、これが現状である。ベストではないだろうが、少しでもMDGs進展のためになるならば良しとせねばなるまい。

2 件のコメント:

  1. 援助関係の者です。2011年12月15日 11:17

    HLFに関心を持ってくださり、ありがとうございます。

    援助効果向上の取り組みは、一面では援助の改善につながっている一方で、開発協力の現場にいる者からすると、一見分かりやすい大義名分の陰で、かえって調整の手間ばかりが増えてしまっている面もあると感じています。とはいえ個人的には、こうして国際的な共通理解が形成されるのは良いことだとも思っています。

    釜山HLF4の成果文書は、こちらに掲載されています。英語ですが、もし宜しければご覧ください。

    http://www.aideffectiveness.org/busanhlf4/images/stories/hlf4/OUTCOME_DOCUMENT_-_FINAL_EN.pdf

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  2. コメントありがとうございます。こういうことを高校生にもわかりやすく伝えていければと思います。

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