2011年12月30日金曜日

今年この1冊 2011

このところ、今年この1冊はなんだったろうかと思案していた。毎日新聞でもすでに様々な識者の記事(毎日新聞は1人3冊ずつ挙げているのだが…。)も出ている。今年もいろいろ読んだが、候補は4つ。私がこのブログに書いた順に挙げると、「風をつかまえた少年」(1月13・14日付ブログ参照/2010年11月20日第1刷だが…)、「はしごを外せ」(6月11・12日付ブログ参照)、「都市を生き抜くための狡知ータンザニアの零細商人マチンガの民族誌」(6月26日・7月2日・3日・5日付ブログ参照)、そして「世界一大きな問題のシンプルな解き方」(7月18日・21日付ブログ参照)である。

この他にも、「遊動民」を始めとした京大関係ののアフリカ本もたくさん読んだ。京大公開講座の関係で、地域研究や民族学的な視点がどっと私のアフリカ研究に入り込んできた1年でもあった。また近代化とはなにかという個人的興味から、近現代史、特に天皇にまつわる文庫本をかなり読んだ。一応、これらは発行年月日がかなり過去であったり、文庫本であったりするので最初から選外としたい。で、上記の4冊になるのである。

この4冊のうち、小川さやかさんの「都市を生き抜くための狡知ータンザニアの零細商人マチンガの民族誌」は、サントリー文芸賞を受賞した。(12月14日付ブログ参照)だから、私などがわざわざ今年この1冊に選ぶ必要性もないと思ったりする。(笑)
長年勉強している開発経済学のスタンスから見ると、「世界一大きな問題のシンプルな解き方」は、その取り組みは大きな勉強になったし、「はしごを外せ」も先進国の経済発展の歴史を開発経済学の視点で問い直した力作だと思う。

しかし、国際理解教育をライフワークと決めた私にとっては、昨年度末発行という”掟やぶり”をしても「風をつかまえた少年」を推したい。マラウイの少年の家族や故郷を思う気持ち、学びへの渇望感、それを乗り越えるアフリカ的な取り組みなど、素晴らしいノンフィクションだと思う。高校生にも十分読めるのも良い。この本を読みながら、奈良教育大学に現役合格した前任校のOB
のG君との思い出もある。

さてさて、来年はどんな本と出合えるのだろう。楽しみである。

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