2011年12月24日土曜日

ラルース地図で見る国際関係

先日、手に入れた「ラルース地図で見る国際関係」という本について、少しだけ書いておきたい。”ラルース”というのは、フランスの百科事典をつくった出版社の名前であるようだ。著者のイヴ・ラコストは、1929年モロッコのフェス生まれの地理学者らしい。フランスの地政学の第一人者でWEBで調べたところ、日本では「低開発諸国」という新書も出しているらしい。彼がモロッコ生まれの白人なのか、モロッコ人でフランス国籍をもつ人なのかはわからない。なぜこんなことこだわるかと言うと、この本を貫く地政学が、イスラムの動向を主軸に置いているからである。

この本によると、アルジェリアに居住していた100万人のフランス人を「ピエ・ノワール」(黒い足)というそうだ。モロッコ生まれの著者が、そういう環境におかれた人物であるとすると、フランスの国益とイスラムの植民地の人々の間に存在して下ことになる。敏感になるのも頷ける。

移民としてあるいは難民としてヨーロッパに押し寄せる人々の中には、東欧だけでなく、マグレブ諸国(チュニジア・アルジェリア・モロッコ)やアフリカ系の人々も多い。この事情についてもかなり詳しい。これも、この本で知ったことだが、ドイツには、トルコ人が多いのは知っていたが、その多くがクルド人だという事実だった。

クルド人は、トルコからイラク、イランに居住する民族で、独立運動を行っている。国境線で分断された民族だ。イラクではキルクークと言う油田地帯近くに居住していて、フセインが弾圧していたことでも有名だ。日本では、ドイツ=トルコ人移民が多いとだけの情報が流れているが、実はクルド人と言われてしまうと、なるほどと手を打ってしまう。

書評と言う形で、この本を紹介するのは難しい。ただ面白い地図が多いので重宝しそうだし、前述のような今まで得れなかった情報を発掘できそうで楽しみである。

追記:明日の奈良教育大学のユネスコスクール教育実践研究会に参加できなくなってしまった。メールで参加申し込みしたのだが、うまく届かず、申し込み締め切りの20日を過ぎてからメールボックスを開けて発見したのだった。あーあ。G君、Y先生御免なさい。

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