2011年8月4日木曜日

チェコのシュールレアリズム

人間椅子
国際マンガ・ミュージアムで2時間近くマンガを読んだ後、食事をしてから、妻の推薦で、三条通りにある京都文化博物館でやっている『ヤン&エヴァ ジュヴァンクマイエル展』に寄ったのである。本日3つ目の展覧会である。よく知らなかったのだが、チェコのシュールレアリストらしい。妻は、「なんとなく面白そうやで。近くやから…」と言う。だいたい、こういうパターンはアタリが多い。期待せず、同時にちょっと期待して、レンガ作りの建物に踏み込んだ。

最初の展示は、『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』のコラージュだった。奇妙なコラージュである。これは、本の挿絵の原画らしい。うーん、シュールである。良いとも悪いとも…。次の展示はなかなか面白かった。江戸川乱歩の『人間椅子』のアニメーションであった。これもかなりシュールである。他にあまり語彙が浮かばない。まあ、シュールレアリズムの作品なのだがら当然であるが…。

水彩画の木版画
次の展示は、版画だった。そのまま見過ごせばそれで終わりのような展示なのだが、これがよかった。ヤン氏が、日本の木版画に惚れ込んで、彼の作品(えげつないことに水彩のものもある。)を木版画化する様子が、作品、版木、ビデオで紹介されている。最初の版画は、江戸の浮世絵の彫り師と刷り師によって製作された。ヤン氏の原画を見事に木版画されていて、ついさっきハンブルグの浮世絵を見てきただけに感激した。もう1つの作品は原画が水彩画である。ヤン氏は、なんだか、サルバドール・ダリが日本で版画化したのをマネしたらしい。それにしても水彩画である。京都の刷り師がビデオに登場する。この刷り師のおっさんが凄い。なんと100回ぐらい微妙な色を再現するために刷ったという。おっさんは、「江戸の刷りは引き算、京都の刷りは足し算でねえ。」と言う。京都の木版画は、仏教関係の経典や画が多く、色を足していくのだそうだ。へー。

怪談の挿絵
最後の展示にはびっくりさせられた。ラフカディオ・ハーンの『怪談』の挿絵の原画の展示である。これもコラージュなのだが、ヨーロッパ的な絵の一部分を、日本の妖怪画(例の百物語だ!)でコラージュしているのだ。奇妙なバランスで無茶苦茶面白い。凄いセンスというか、芸術性というか、である。ヤン氏は、よほど日本が好きらしい。

結局、はからずも「百物語」&「怪談」というテーマで3つの展示会は三部作となっていたのだった。不思議な京都の一日だった。夜、TVで”恐怖の映像”の2時間スペシャルなどを見ていた。おいおい、恐いぞ。せっかく肩の痛みは引いたのに、今晩は眠れるだろうか。

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