2011年8月15日月曜日

モザンビークでの南南協力

お盆なのだが、特別活動部の仕事があるので、学校に出勤した。事務所に寄ると、前任校のU先生から封筒が届いていた。JICA'sWORLD8月号を送ってくれたのだった。(まだ私宛に前任校に届いている。いつも申し訳ないと思っている。)今月号の特集は、「世界の食料問題に挑む」であった。

私が衝撃を受けたのが、『現在から2050年までの収量変化予測(%)』という世界銀行の資料を大きく使ったページである。地図中の色は11の主要品種(小麦・コメ・トウモロコシ・キビ・エンドウマメ・テンサイ・サツマイモ・大豆・ピーナッツ・ヒマワリ・ナタネ)の収量の変化予測を表したものである。下記の地図は、世銀のWorld Development Report 2010から、引用したもので、特集記事と全く同じものである。

地球温暖化の影響が見事に見える地図である。アメリカでは、イリノイ州・アイオワ州で-20%。これはトウモロコシで主に飼料作物である。ミズーリ州やネブラスカ州などの小麦地帯も-15%。反対に、モンダナ州やカナダのブリティッシュコロンビア州、マニトバ州、ラブラドル半島部などで50%以上の小麦増産が、このことを顕著に示している。ヨーロッパでも北欧やウクライナの黒土地帯を除く東ヨーロッパなどでは軒並み増産。タイガ(針葉樹林帯)が穀倉地帯に大きく変わるようである。一方、オーストラリアはかなり減産する。南米のアマゾンやパンパもひどい。東南アジア、西アジアも大きく減産し、特にパキスタンのパンジャブ地方はひどい減産となるようだ。アフリカでは、サハラ砂漠のあるマグレブ諸国、カラハリ砂漠・ナミブ砂漠のあるボツワナやナミビアで大きな減産になるようである。かなりショッキングな地図であると私は思う。

2050年には93億人に達する世界人口。この先40年、現在の12億の先進国の人口増加は1億人ほどと予測されている。一方53億人の途上国では27億人の人口増加が見込まれており、これらを賄うためには現状の約70%の生産量の増産が必要だと試算されているようだ。決して簡単なことではない。JICAは、「農業生産基盤の確立」と気候や価格変動などの「ショックへの対応能力の向上」の二本柱で協力を進めているとのことである。

モザンビークでは、JICAが行ったブラジルのサバンナ地帯セラードの農業開発のスキルを生かし、日本とブラジルの専門家が活動している。主にキャッサバの生産の技術向上を、ナカラ回廊(マラウイからインド洋のナカラ港を結ぶ経済回廊)地域で行っているらしい。また、中部のザンベジ州では、ベトナムの専門家とともにコメづくりの協力を行っているという。モザンビークもベトナムも植民地支配から社会主義体制、戦争、復興・成長と同じような道を歩んできた。日本が間に入って、”南南協力”を推進しているのである。と、いうような話が載っていたのである。なかなかいい話ではないか。

ほんと、これからは水と農業が大事になる。そのために世界に羽ばたく熱意を持つ人材を育てたい。そう思うのだ。本校では、あまり多くはないが理系の大学志望者もいる。いつか農学部に送り込みたいな、などと夢想する今日の私であった。

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