久しぶりの稲森財団記念館 |
まずは、TICAD8でどんなことが語られたのかについて。今回はコロナ禍のこともあって、7よりコンパクトになったそうだ。各国首脳の参加数は42名から20名に半減してしまったらしい。チュニスでの記念写真の前列に民族衣装を着た人がいるが、彼は西サハラの大統領。日本は未承認なので、首脳の数には入れていないらしい。またSNSで話題となった300億ドルのアフリカ支援のうち、ODAや国際機関を通じての、いわゆる公的資金は100億ドルで残りは民間の直接投資などによるものらしい。(政府は国民にきっちり説明をした方がいいと思うとのこと。)中国のアフリカ支援との対抗という側面は否定できないし、日本との密接な外交関係(国連安保理改革含む)という側面も否定できないが、アフリカ諸国は、欧米のダブルスタンダードへの反発が強く、先日来のいくつかの国連ロシア非難決議の賛成・反対・棄権・不参加などの票数に表れていると言われていた。細かな解説も入ってきた。経済、社会、平和と安定という3つのカテゴリーで説明があったが、JICAとしては、社会をトップにもってきたかったそうだ。7くらいからビジネス志向が急に強くなった。(当時の外相は、河野太郎で、その意向がだとか。フンッ。)
TICADの歴史を振り返っていただいた。細川政権時の1では、ほとんどメディアで取り上げられることもなかった。ODA供与の表明もなし。(表明するのは4から。)2は小渕首相時。MDGsの原型的な内容であった。3では、経済成長を通じた貧困削減を訴えた。4では、アフリカへのODAを倍増すると発表。外交史上類を見ない大規模な国際会議となった。5では、日本、AUC(アフリカ連合委員会)、国連、UNDP、世銀の5者共催となり、6では国債資源価格の下落やエボラ出血熱の流行を受けたナイロビでの開催。7では前述のようにビジネス促進が強く押し出された。(まあ、これは世界低潮流ではあるが…。)
岸派→福田派→安倍派がアフリカへの国際協力に熱心なのは、岸以来のアジア主義(アジアが豊かになれば日本も栄えるという思想)の延長線上にあるのではないかという話だった。…これは面白い話。今読んでいる頭山満伝と関連してきた。
ちなみに、ビジネス重視のわりに、日本のアフリカ投資は、欧米が増加しているのに減少しているようだ。たしかに人口増加は経済学上有利であるが、食料や雇用創出などの様々な問題が指摘されている。急に平野先生の開発経済学の話が出てきて驚いた。平野先生といえば、今のセンター長は同じアフリカ開発経済学の高橋基樹先生である。今日の公開講座にもセンターを代表して来ておられた。
神戸大学時代の高橋先生の「現代アフリカ経済論」は、平野先生を超える名著だと私は思っています。」と、講義終了後にご挨拶をさせていただいた次第。ほんと、今日、京都まで足を運んでよかったと思う。
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