2018年5月6日日曜日

PBTの話(36) Sturm und drang

Sturm und drang:日本語では「疾風怒濤」と訳すのだが、私がこの言葉に初めて出会ったのは中3、北杜夫の「ドクトルマンボウ青春記」である。青年心理学では、青年期の特徴を示す言葉でもある。理性的判断より感情的な側面が強く出てしまい、アイデンティティの確立がなかなか出来ないような状況になることである、と私は理解している。

先日、T先生から、我がF40Aの学生諸君の作文を見せて貰った。学生理解のためにと、いうわけだ。作文のテーマは、「私の長所と短所」である。いずれ、大学の志望動機や面接指導のための伏線でもある。

全体を通して、マレーシアの学生は、親の意見というか教育方針に忠実で、他人に迷惑をかけない、時間を守ると言った基本的な生き方を学んでいることがわかった。エゴグラムで言うとCPが高いわけだ。しかしながら、中・高の人間関係では、友人がそうでなかったりして、大いに苛立っており、友人関係に不安を抱いてる学生が多かった。彼らは、ある意味でエリートなのかもしれない。まあ、PBTに学び、日本留学をめざして、地獄ような宿題をやり抜く志があるのだから、選ばれし者のような気がする。しかも、意外に自分に自信がないらしい。と、いうのが私の感想。

そこで、少しばかり「ペルソナ」のハナシをしてみた。さすが選ばれし者で、ペルソナを知っている学生が数人いた。ギリシア演劇の仮面であり、パーソナリティーの語源となっている。私は、学生時代にSさんの仮面を被り、教師になってからも仮面を被り続けて、今やそれは自分のものとなっている、そんなハナシをしたのだった。青年期は、悩み、苦しむのが当然であって…と、今日のタイトルの「Sturm und drang」が出てきたのであった。これ以上は説明すると、日本の大学で心理学をやりたいと言われては困るので止めたが…。(私は心理学を専門に学ぶことは留学生にとっては、かなり日本語的に難題と考えている。日本の法律を学ぶのも同じ理由である。しかも心理学は院にまで進まねば、専門家とはいえないので、余計忌避するよう指導している。どうしてもやりたかったら、社会学部や文学部で他の学問を主として学びながら、心理学もかじったら…。と言っている。)

担任としては、これからさらに、学生諸君のこういった悩みも聞いていってあげないといけないな、と思っている。自信を持ちすぎるのは困るが、ないのも困る。(笑)

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