2017年8月6日日曜日

昭和天皇と福田赳夫の話

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KLIA2に向かう650番のバスとセントラル駅からのエクスプレス、さらに空港の到着ロビーと、妻を迎えに行き、待っている間、昨日エントリーした「日本の歴代総理大臣がわかる本」をずっと読んでいた。気楽に読めるのが最大の利点であるからだ。ここで面白い逸話をいくつか発見した。ちなみに著者の岩見隆夫氏は毎日新聞の有名な政治記者である。今日はその1つを紹介しようと思う。

福田赳夫と昭和天皇の話である。福田は第二次岸内閣の農相となり、伊勢湾台風後、中部地方の農業被害について報告するため宮中に出向いた。その際、昭和天皇が「時に農林大臣、桑名のシジミはどうなったか。」と聞かれた。「?」桑名と言えばハマグリ。天皇は勘違いされたのでは?と思ったが「シジミのことは調べて追って報告いたします。」と返事したそうだ。さらに名古屋の金魚についても同様の質問があった。名古屋で金魚?農林省に帰って調べてみると、桑名の「焼き」ハマグリはすでにほとんど採れなくなっており、宮城県・松島が最大の産地となっていることがわかった。名古屋も金魚の三大産地のひとつになっていた。要するに、生物学者として農林水産に詳しかった昭和天皇が福田をからかわれたのである。昭和天皇には、こういうユーモアを楽しまれる方だった。

続いて佐藤内閣で外相となった福田は、天皇の訪欧の首席随員となる。英国で、随行記者団の質問を受けているうちに天皇が出発され、首席随員行方不明事件と呼ばれる失敗をする。さらに英国からオランダに移動する際、秘書の次男がネクタイを全て荷物にまとめ送ってしまい、朝のネクタイがないので、在英大使館員のものを借用したという失敗もあった。これらを昭和天皇はご存じで、随員の謝礼会の際、「福田はあの時、行方不明になったね。」と冷やかされ、次男にも「近頃は秘書をちゃんとやってますか。」と声をかけられ、その後の内奏の時には「今日はネクタイをつけてるね。」と楽しげにからかれることがしばしばだったという。福田は1975年の天皇訪米の際も副総理として首席随員を務めた。昭和天皇の旅とよほど縁があったのだろう。

なかなか面白い逸話である。昭和天皇のお人柄が偲ばれるいい話だと私は思う。

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