さて、朝のエントリーの続きである。もう一冊、無人古本コーナーで石油関係の本をチョイスした。こちらはアメリカで進むシェールガス・シェールオイルの技術革新によって、天然ガスの市場、さらには石油の市場にどう影響がでるかという内容である。アマゾンの読後のコメントを見てみると、かなり評価が高い。「シェール革命後の世界勢力地図」(中原圭介著/ダイヤモンド社・2013年6月発行)である。
まず私が不勉強で、びっくりしたことは、米企業の賃金がリーマンショック後約1/4にまで減っていることである。これでGMなどの企業はなんとか立ち直ったらしい。
そこに、中小のシェールガス企業が、こつこつと技術革新をしながら生産コストを下げていて、2014年現在で、すでに全米天然ガス生産量の30%ほどまでにシェールガスは発展していることである。これは昨日世界国勢図絵などの最新資料で確認したところである。
サウジなどのOPEC諸国の増産による価格低下誘導で、シェールを押さえ込むことは見事に失敗したといってよい。国際石油資本も、これらの中小シェールガス企業を買収し、さらなる増産体制に入っている。夢よもう一度というところか。とにかくも、アメリカの安価なシェールガスの登場で、天然ガスの国際市場は大きく変わるだろうという予想が書かれている。
すなわち、アメリカの天然ガス価格はたとえば日本などと比較するとかなり安い。これを企業の発電に使えば生産コストで有利になるのは自明の理である。しかも先ほど述べたように米企業の賃金は安く抑えられており。中国の沿岸部と等しいらしい。中国はまだまだ賃金の上昇が見込まれる故に、アメリカの製造業は世界の工場の地位を取り戻すかもしれないというわけだ。
このシェールガスが輸出されるようになるまでに生産拡大した場合、ロシアをはじめとした多くの天然ガス生産国に価格の低下を市場は求めることになる。シェールオイルの開発も着々と進んでいる。この事による世界勢力地図が変化がこの本のテーマである。要するにアメリカの復権が語られているわけだ。マレーシアにとっては極めて頭の痛い話になる。おそらく(マレーシアの官民半々の石油企業である)ペトロナスは次の一手を模索しているはずだ。
この本もなかなか面白い。まだ全部読み切っていないのだけれど、経済学への批評も書かれていて、さらに面白い。秋田大学の国際資源学科に学ぶ、文系の2人のOB/OGには是非読んで欲しい本だ。
2017年8月19日土曜日
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