昔々、「世界ウルルン滞在記」というTV番組があって、女優の東ちづるがドイツの「国際平和村」というNGOを取材、以後何度か取材が行われ、視聴者に衝撃的な影響を与えた。このNGOは、世界中の戦争で傷ついた子供たちを受け入れ、無料で医療を施し、帰国させるという活動をしていた。取材の2回目以降、日本人スタッフが増え、極めて珍しい”善意の輪を大きく広げたマスメディアの力”を実感したものだ。このNGOは、もちろん、現在も活動中である。
http://japan.friedensdorf.de/
この番組で傷ついた子供たちの多くが、地雷の被害を受けていた。中でも多かったのが、アフガニスタンとアンゴラの子供であった。最初の番組の中で、東ちづるがこういう子供たちを生んだ戦争をやった大人たちへの鋭い一言を浴びせる。ビデオで録画し、授業で何度も日本の高校生に見せたので、私の脳裏にも焼き付いている。
なぜ急にこんな事をエントリーしているかというと、その”大人”の1人であるアンゴラの大統領が38年にも及ぶ長期政権を自ら退任したからだ。彼は、ポルトガルからの独立戦争以前から政治に関わり、内戦時でも一方の中心者の1人であった。
https://www.nikkei.com/article/DGXLASGT26H02_W7A820C1NNE000/
もちろん彼1人が悪の根源であるわけではない。彼の属していたMPLA・首都ルワンダ方面は石油を産出し、一方UNITA・南部内陸部ではダイヤモンドが産出、アンゴラは典型的な「天然資源の罠」から「紛争の罠」へと発展した国である。これに冷戦時故にMPLAを社会主義国・ソ連やキューバが支援し、UNITAをアメリカや南ア、反ソの立場から中国が支援した。(北部ではコンゴも米・中と共に支援したFNIAもあった。)極めて多くの大人が、自らの権益や国益を求めてアンゴラの内戦を拡大させ、罪もない子供たちの手足を奪ったのである。地雷は人を殺すのではなく、四肢を傷つけ相手側の負担を増やすという極めて残忍で安価な武器である。(アンゴラの地雷被害については以下の記事が詳しい。)http://www.jca.apc.org/banmines/materials/situation%20of%20world/angora_report.htm
そのアンゴラの大統領が交代する。日経の記事によると、石油価格の下落で国民の不満は高まっているらしい。外務省のODAのページを確認すると、日本も内戦終了後は、地雷の撤去も含めて様々な国際協力を行っている。少なくとも内戦時のような悲劇だけは、くり返して欲しくはないものだ。長期政権が変わる時は人心も大きく動くのが世界史の常である。過去は人間の英知で乗り越えられる。それも世界史は教えている。
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