2017年の経済成長率の予想値は4.8%(2016年の実績は4.2%)としている。輸出入実績の堅調な伸びと国内需要の下支えを根拠にしているという。消費者物価指数は、3~4%と、過去二年間の平均2.1%から大幅な上昇と見ている。この動きは国際的な物価および各種エネルギー価格の上昇、さらにリンギ安を背景にしている。ただし、バンク・ネガラは安定した国内需要の元での急激な物価上昇は回避されるだろうと楽観視している。さらに、可処分所得の増加で民間需要は堅調な伸びを見せるだろうとしている。
一方、輸出志向産業を中心に高い資本支出実績及び製造およびサービス部門で顕著な新規プロジェクトの立ち上げの動きがあり、民間投資は堅調な伸び、しかしこれに反して公共支出は全体として、政府の財政再建策のゆえに減速気味であるとしている。とはいえ、特定の重要なインフラ開発計画への大規模な設備投資は引き続き経済成長のけん引力となるとしている。
主要経済国の間で保護貿易化の動きが見られ、世界規模での貿易の勢いは弱まる恐れがあること、米国と他の主要国の金融政策が分岐することで金融市場が低迷する恐れがあることなどの懸念も示した。
2016年の総輸出実績の伸び率は2016年が1.1%。2017年は、5.5%と予測。総輸入実績の伸び率は、1.9%から同じく6.4%と予測。2017年も引き続き貿易黒字を維持すると予測している。リンギは対米ドル交換レートで2016年末に4.3%下がり、$1=RM4.486となっている。しかし、2017年は経常黒字を計上し、黒字幅は2017年のGNI(国民総所得)の1~2%となる見通しだという。外貨準備高はRM4239億で、輸入の8.5か月分、短期対外債務の1.1倍の規模にあたる。マレーシアの対外債務は2016年度末の時点でRM9087億(=$2006億)、GDPの73.9%に相当する。(2015年度はRM8338億だったので増加している。)
失業率は前年の3.1%から3.5%にやや上昇、経済成長の減速が雇用創出の鈍化を生んでいると指摘している。しかしサービス産業の成長率は2015年の5.1%から5.6%へと上昇しているとのこと。
…世界経済が先行き不透明な中、マレーシアは中進国として、堅実に経済成長を遂げているゼイ、という感じだろうか。授業で学生に聞くと、景気は悪くなっているという実感が強いらしい。企業家ではない一般消費者の学生にとって、インフレとリンギ安が不安材料なのだろうか、と思う。たしかに、バンク・ネガラの見通しは、ちょっと楽観的すぎるかもしれないなあ、と思いつつ。
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