2016年12月13日火曜日

「中国一国論への疑義」への疑義

http://edition.cnn.com/2016/05/04/opinions/
what-would-founding-fathers-think-of-trump-ellis/
トランプ次期大統領の発言の真意がわからない。そもそもが超ポピュリストであるから、就任前からどんどん打ち上げ花火的な発言があるだろうと思っていたが、「1つの中国論への疑義」にはさすがに驚かされた。

アメリカ国内も、中国も大騒ぎになっている。もしアメリカが対中保護貿易に方向転換するとすれば、世界経済は大打撃を受けるだろう。もはやグローバリゼーションを縮小することはできないのではないか、と経済を学んだ者ならわかるはずだ。同時に、それが武力対立の抑止になっているのである。グローバリゼーションには、経済格差拡大という大きなデメリットがあるが、自由貿易で各国が経済的な結びつき・依存を深めることで、市場が平和を守っているというメリットもある。

たしかに近年の中国の外交姿勢は、国際社会の中では問題が多い。トランプの指摘するところは間違っていない部分もある。本気で1つの中国論を潰すつもりはないだろうが、打ち上げ花火としては、あまりに危険な大玉すぎる。経済と外交・安全保障政策を安易に結び付けない方がいい。

私は、アメリカの混乱より、中国の混乱の方を危惧している。中国を安易な欧米の尺度で見ない方がいいというのが持論である。中国共産党の支配体制が崩れることは、欧米的な市民革命=民主化を意味しない。中国の社会類型は、欧米とは三角形とは逆なのである。三角形の上部・権力の座には不自由な共同体が、その下部には自由な個人が莫大にうごめいているのである。重しを取ったら内乱の可能性が高い。GDP世界第二位の内乱国の出現に世界はとんでもない安全保障上の危機、巨大な難民問題、そして経済危機を迎えることになるだろう。

トランプの打ち上げ花火的会見内容や、ツイッターの一言ひと言で世界中が大騒ぎするのは、もう、うんざりだ。基本的にアメリカのプラグマティズムは、結果オーライで判断されるが、あまりに発言がスキゾすぎる。こんな人物が世界に君臨するのは、極めて危険である、と私は思う。

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