2016年12月8日木曜日

IBTの話(59) ウーリーシンキング

A・Cクラスとも、私費生最後の授業の日であった。最後の授業は、予定どおりウーリーシンキングを行った。日本では、やり慣れたアクティビティだが、華人の生徒やマレー系の生徒がどういう反応を示すかという点で大いに興味があったのだが、日本人の生徒以上に熱心に取り組んでくれた。今回の命題は生徒の人数の関係で、Aクラスは9個の命題、Cクラスは10個の命題で行った。命題は次のとおり。日本の場合と少し変えてみた。

1.エネルギー 2.教育 3.環境 4.平和 5.経済 
6.領域国民国家 7.グローバリゼーション 8.リベラル・デモクラシー
9.日本のアニメ 10.マレーシア

最後の総合科目の授業であるし、総まとめとしてちょっと難しい命題も入れてみた。また、「日本のアニメ」については、多くの生徒が大好きなので、盛り上げるために設定してみた次第。

ゲーム中に交わされた対話は、かなり高度なものになった。特にAクラスでは、国費生の男子がよく頑張ってくれて、たとえば、環境と日本のアニメの関連性などについても、具体例を述べるように要請していた。このアクティビティの最も面白い部分を見せてくれたと思う。このアクティビティは、極めて知的なものなのだ。こういうことは、ずいぶん久しぶりである。ちなみに、日本のアニメと環境の関連性について、両クラスで質問してみた。宮崎駿のアニメには、環境関連が多いことを確認したのだった。私が第一に浮かんだのは「平成狸合戦ポンポコ」だが、「もののけ姫」や「となりのトトロ」、そして「風の谷のナウシカ」など、実に環境をテーマにしたものが多い。日本のアニメは、そのほかにも様々な命題に取り組んでいることを再発見したのだった。

マレーシアならでは、というゲームの進め方についても記録しておこうと思う。マレー系の生徒は男女の接触を禁止されている故に、毛糸を結びつけたりする際接触する可能性の低いスタンドプレーヤー(交渉を受け付ける側)に男子を置いた。毛糸を持って結びつけるのは専ら女子にしたし、男子に毛糸を巻き付ける際は、男子自らが行うように指導した。この辺は、気をつかうところである。(本当なら、南北貿易ゲームとともに国際理解教育学会の研究発表大会で発表したい内容である。)

蜘蛛の巣のような命題の関係性の輪が出来て、真ん中にはどんな命題があるだろうか?という質問に、様々な答えが返ってきた。答えはないのだが、私としては、「持続可能な開発かな。」と言うと、皆が納得した。これが、私の総合科目の最終講義でもあったわけだ。

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