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ドイツの生産性は日本よりはるかに高い。早くから会社について、始業時間きっかりにパソコンの電源を入れる。集中して仕事し、12時きっかりにやめる。1時から5時までも同様。パッとやめて「はいさようなら。」機械的に正確。ここにドイツの強さの秘密がある。しかし、意外なことにバカンスの日数を調べてみるとフランスより多い。ドイツ人は、とても合理的に物事を考える。生活は質素で、夕食もハムとソーセージとチーズとパンだけ。火を使う料理はしない。
楽しみはガーデニングとレンガを積み上げて自分の家を建てること。貯金で利息がつくのが楽しみの人が多く、ブランドの服を買うなどということには重きを置かない。その代わり、食器や家具には凝る。イケアみたいな店に一週間ぐらいかよって、どのテーブルを買おうかと飽きずに見ているという。したがって、こういうライフスタイル故に内需の拡大は期待できない。産業は輸出に頼るしかない。外需頼りというのがドイツの問題である、とのこと。
イスラエルには、建国初期に大勢のドイツ系ユダヤ人が移民してきて、国の基礎を築いたからしっかりしているという説がある。ハーバーマスなどが言っているが、戦後のドイツは、それまであった国の重要な要素を半分失ってしまった。もともと土着のドイツ人知識人とユダヤ人知識人によってつくられた国だったのに、ユダヤ系の部分を失ってしまったという。
エリック・ホブズボームの『20世紀の歴史』には、1914年のWWⅠが始まりで1991年のソ連崩壊が終焉で「短い20世紀」だと書かれている。これを「ドイツの世紀」と読んでいる。ドイツという新興の帝国主義国をいかに封じ込めるか、そのために世界は必死になった。ソ連という国家もその過程でできた。WWⅠとWWⅡは、ひとつながりの「20世紀の31年戦争」とみなすべきで、結局のところドイツを封じ込めることはできなかった、という見方である。
またジョージ・フリードマンの『新・100年予測』でも、ドイツは自国の構造的な問題に対処しなくてはならない。問題とは輸出への過度な依存である。内需の拡大も難しい。ドイツとしては、ロシアやラテンアメリカ、アフリカの新興国と経済的関係を強める(中国とは、外需を求めるという意味で同じなので手を握れない。)道を模索せざるを得ないが、ロシアは経済と安全保障をどうしても結びつけて考える。ドイツがウクライナやベラルーシに対するロシアの行動をどう解決していかが問われていく。現在のウクライナの問題をこういう視点から捉えるべきだと、佐藤優と池上彰は説いている。
…高校の地理や歴史では、こういうドイツの”外需頼り”の構造やイスラエルの構造を教えることはない。意外に重要な視点だと思う。
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