2015年11月22日日曜日

チェルノブイリの祈りを読む。2

http://www.bcd-urbex.com/chernobyl-nuclear-power-plant-ukraine/
チェルノブイリの祈り(スベトラーナ・アレクシェービッチ著/岩波現代文庫/2011年6月16日発行)を読んでいると、その被爆の悲惨さに打ちのめされる。最初に、若い消防士の最後を看取った妻のインタビューが出てくる。「孤独な人間の声」と題されたものである。初期消火に携わった消防士の身に起こった体の変化。とてもそのまま引用できないほどのものだ。彼の死後、セロハン袋(透明な防水用)に入れられ、木の棺に納められ、さらにもうひとつの袋にくるまれ、亜鉛の棺にまるごと押し込められた。その後、亜鉛の棺はハンダ付され、上にコンクリート板が乗せられた。

「あなたのご主人は英雄であり、もう家族のものではない。国家的な人物で、国家のものなんですよ。」と言われ、モスクワの特別な墓地に埋葬されることになった。しかし、西側の特派員が押し寄せているので、2時間以上モスクワの環状道路を回ることになる。妻はヒステリー状態になったという。あっという間にされた埋葬時も、その後故郷に帰る際も、護衛がつき、宿泊したホテルのシーツなどはすぐポリ袋に入れられたのを見たという。「きっと燃やされるんでしょうね。」

全ての日本人が読むべき本だと私は思う。決して今年のノーベル文学賞だから、というのではない。原発の危険性だけでなく、国家・権力というものの恐ろしさを知っておくべきだと思うのだ。

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