2015年11月24日火曜日

日経 欧州の寛容の精神?

モスクが足りず路上で礼拝するパリのムスリム
http://blogs.yahoo.co.jp/stellar_mimiru/65307997.html
日経の「経済教室」、今朝は一橋大学の福富教授の「パリ同時テロが示すもの①」であった。パリ政治学院で国際関係学博士号をとった方らしい、フランスからの視線で書かれたものだ。

欧州のイスラム過激派によるテロの背景と混乱の原因を①欧州の寛容の精神をテロリストが逆手にとった。②欧州社会がイスラム教徒との融和につまづいたこと。③シリア問題への対応の遅れ。を挙げている。

フランスには、北アフリカから来たアラブ系移民が2世・3世を含め350万人以上、イスラム教徒は全体で450万人が生活しているとされ、移民政策は80年代以降フランスの重要課題となっている。トルコ系移民を始め500万人のイスラム教徒を抱えるドイツやパキスタン系移民を中心に270万人が住む英国でも国民融和は大きな課題である。欧州のアラブ系移民の増加は、各国政府が植民地統治時代から言語的障壁のない彼らを経済成長期に自動車など製造業を支える労働力として招いたことが始まりだった。だが、石油危機以降、経済が低迷するとアラブ系移民は離職を余儀なくされた。2世世代は、貧しさ故に十分な教育を受けられず、就職差別に苦しみ、アイデンティティを模索し続けることになった。

特にフランスは、共和国理念に同化を求める社会であり、多文化主義の英国や、歴史に対する反省から異なる政治信条に敬意を払う教育がなされているドイツとは異なる。その意味で、二重基準に翻弄された若者の苦悩は大きかった。特に、新保守主義・新自由主義の前サルコジ大統領時代、移民2世・3世の疎外感が増大した。

この後、福富氏はシリアへの対応の遅れを指摘する。2001年の国連の「干渉と国家主権に関する国際委員会」で決定された、保護する国際的責任が内政干渉に優先することを確認し、「ボーダーレスな内戦状態にある世界」に、フランスが介入すること(軍事攻撃)を擁護している。今回の事件を「文明の衝突」にしてはならない、テロは人類社会に対する挑戦とみなすべきである、と。また、EUは、シェンゲン協定を見直しすべきではない、さらに過激派があおる宗教戦争や極右勢力によるアラブ系住民の隔離をゆるしてはならない。時計の針を70年以上巻き戻すようなことになれば、それは欧州の死を意味する、寛容の精神を失って行き着いた先が「ホロコースト」だったことを、欧州諸国民は知っているはずだ、と結ばれている。

…うーん。極めてフランスからの視点だなあ、と思う。毎日の朝刊には、仏軍への入隊希望者が3倍にもおよんでいるのだという記事が載っていた。私は、このナショナリズムの高揚こそが怖い。そもそもシリア内戦の種(被差別の少数宗派「アラウィ派」のアサドの父に支配させた。)をまいたのは、フランスだ。ご都合主義に過ぎると私は思うのだ。アメリカも、各州議会でシリア難民受け入れ拒否が次々と行なわれている。70年前のナチス・ドイツからユダヤ人が難民化した時とと全く変わらない。

…私は、これはまさに文明の衝突だと思っている。神定法でアナーキズム的なスンニ派イスラム過激派対キリスト教の人定法で、領域国民国家の先進国&領域国民国家化した普通のスンニ派イスラム教徒の戦いである。ここにシーア派と、ロシアが絡んでぐちゃぐちゃになっているように感じている。ISが、カリフを宣言してしまったことは大きい。アナーキーに、領域国民国家を越えて、カリフに忠誠を誓う、貧困から先進国との闘争に参加する人々が無限に現れるのは自明の理である。

…勘違いして欲しくないが、私はテロを擁護しているわけではない。そういう風に見えると言っているだけだ。キリスト教的な人定法が普遍であり正義だとする欧米の立場以外にも、違う正義、神の正義を掲げる人々もいる、ということである。こういう異文化理解こそ、真の寛容の精神である。最大の問題解決は、やはり経済格差の是正であり、先進国の構造的暴力の解消であると私は思うのだが…。

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