彼らはドラム缶を器用に叩いて改造し、くぼみの面積の大小や深さの高低で音階を創り出し、打楽器なのにかなりの音階を創造したのだ。素晴らしい楽器だと私は思う。もちろんスチールパンの存在は知っていたけれど、オーケストラ並みに大人数で叩く姿を始めて見た。その大迫力にただただ圧倒されるのだ。
アフリカの人々のリズム感は素晴らしい。トリニダード・トバゴの人々のDNAに、見事に受け継がれている。彼らは、ほとんどがアマチュアで、夜毎練習しているのだという。子供も大人も、軍人も…。決して豊かとはいえない生活の中でも、彼らは今、生きているという実感をつむぐ場所をもっていた。全くもって素晴らしいとしかいいようがない。
この島を訪れたミュージシャンが、「東北の震災の時、私は音楽を自粛した。あなたならどうか?」と尋ねるシーンがある。その時の男性の言葉がいい。「私も自粛するだろうな。だが、人生は続く。」彼らにとって、音楽と人生は一体なのだ。音を出せないときがあってもいい。出せるときが来る。「私が音楽をやることを誰も止められないさ。」自然災害も、昔の植民地政府も…。私自身、うまく表現できないが、ジーンと来たのだだった。
彼らのスチールパンの音は、金属音で高音、しかも曲は華やかだ。でも、どこか深みがある。
ちなみにトリニダードとはスペイン語で三位一体を意味するらしい。トリニダード島には3つの山があるので、そう命名されたのだとか。といってもその後、イギリスがぶんどった関係で、英語圏。いつか、行ってみたいな。トリニダード・トバゴ。
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