2014年3月19日水曜日

クリミア問題で思うこと。

クリミア・タタール人の声は全く届いていない。
http://turkbodn.blog.jp/archives/cat_187531.html
クリミアが国民投票で独立を決め、さらにロシアへの編入を決めた。アメリカとEUは、さらなる制裁を検討している。ウクライナの反ロシア勢力では、志願兵が大挙集まり、軍事予算の大幅増額を決定したという。このところ、新聞の一面は、クリミア問題一色である。

クリミアの大統領に今ついている人物は、議会では超少数派の党首であったのが、急に表舞台に出ているらしい。その背後に軍事力を背景にしたロシアの思惑があるのは見え見えである。ロシアとアメリカ・EUの、国民投票など民主主義的な経過に対する議論は完全に平行線である。

結局のところ天然ガスというエネルギーを抑えられているEUのスポンサー・ドイツは、ロシアに強力な制裁、ましてや軍事力行使などは全く望んでいないはずだ。アメリカは、世界の警察から降りたとはいえ、黙っていると益々影響力を失うので、それなりに落としどころを探りながら、エアー・ジャブを打っているに過ぎない。フランス国内では嫌EUの極右政党が勢力を伸ばしていると昨朝の日経の記事があった。ロシアも本気で、EUと事をかまえることなど考えていないはずだ。少なくとも、EUに傾いたウクライナのうち、少なくとも黒海艦隊の基地のあるクリミアだけは失うわけには行かないという、半ば防御的な軍事行動のように見える。

要するに、これだけグローバル化が進み、各国の経済が結びついてしまった現在、戦争などと言う極めて経済効率の悪い行為を行う愚を、どこの国も犯さないだろうと私は思うのだ。

怖いのは、感情的な民族主義である。感情的な民族主義は、時には冷静な判断を覆い隠してしまう。今日のニュースでは、中国の労働者が戦時中の強制連行の賠償金を日本企業に請求し、これを中国の裁判所が受理したという話だ。私は以前にも書いたが、周恩来総理を尊敬している。周総理は、この時、未来の日中友好のために全てを「仁」で清算した。これに対し、日本政府はODAというカタチで中国に長期にわたって「仁」を返し続けた。TVに映る広報官の話には、およそ、こういう東アジア的な「仁」や「義」を感じれない。と、いって私までもが感情的民族主義に陥っては元も子もない。(笑)

グローバル化は、デメリットもたくさんあるが、少なくとも「合理的」に考えれば、戦争がいかに非生産的で、互いの利益を損なうかという尺度を世界に持ち込んだというメリットをもたらしたと私は感じているのだ。

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