2010年12月26日日曜日

コートジボワールの暴力装置

最強の攻撃用ヘリ・アパッチ
最新(19:00)のWEBニュースによると、『国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は25日、大統領選結果をめぐる混乱が続く西アフリカ・コートジボワールから隣国リベリアに1万4千人が避難し、難民となっていると発表した。UNHCRは、難民の数が増え続けているとして、国際社会に緊急の人道支援を訴えている。UNHCRによると、難民らはコートジボワール西部から長時間歩いて国境までたどり着き、川をいかだで渡ってリベリアに逃れているという。(共同)』

 一方で、こんなニュースが流れた。『大統領選の結果をめぐり混乱が続くコートジボワール情勢について、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)は二十四日、国際社会が当選を認めていないにもかかわらず政権に居座るバグボ氏に対し、選挙管理委員会が当選者として発表した元首相のワタラ氏に権限を移譲しない場合、武力行使を含む措置を取るとの声明を発表した。ロイター通信が報じた。これに対し、バグボ氏側の外相は「軍事介入でいったい何ができるのか。バグボ氏を暗殺しようとでも言うのか」と反発。加盟国の中には異論もあったECOWASの決定を非難した。一方で外相は「特使と会ってバグボ氏の立場を説明し、現在の情勢の解決策について提案する用意がある」とも述べた。コートジボワールでは、大統領選決選投票後の両勢力の武力衝突により約二百人が死亡している。』

 コートジボワールでは、ついに難民が出たようである。アビジャンで武力衝突が起こっている関係で、リベリアへ逃げ出したということだろう。国内避難民も多く出ていると推測される。西アフリカ諸国経済共同体について調べてみた。フランス語圏だけでなく英語圏・スペイン語圏の国も含めた共同体で、軍事同盟の機能もある。要するに、バブゴ大統領は、完全に周囲の国から否定されているのである。もしかすると西アフリカ諸国経済共同体の軍が国連のPKO軍とともに鎮圧に乗り出すかもしれない。
 
 ところで、ブルキナの首都ワガドゥグは、空港がどーんとあって、その周囲に中心街が広がっている変な街である。荒熊さんのフィールドワークに付き添わせてもらっていた時、その空港から、なんと攻撃用ヘリ『アパッチ』が飛び立ち、私の頭上を通過したことがある。3機編隊である。その強烈な爆音と、最貧国の1つであるブルキナとのミスマッチに、大いに驚いたのだった。今思えば、西アフリカ諸国経済共同体のものかもしれない。
 あの平和なブルキナでも、一般人は軍に対して恐れを抱いていた。軍服を見るとあまり関わりたくないという感じだった。某国官房長官のいう『暴力装置』としての認識が強いのだ。おそらくコートジボアールも同様であろうと思われる。
 さて、その軍が、コートジボワールでは、元大統領のバブゴ側に立って暴力装置としての機能を果たし始めている。一般市民は逃げるが勝ちである。着の身着のままで逃げ出したことだろう。まさになんとも言えない状況である。このような現実を、全く夢物語のようにしか感じれない日本にいて、私は何もできない。ただただ、平和を祈るばかりである。

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