本書では、これまでとは違う角度でこの疑念に答えようとしている。最も印象的だったのは、昭和天皇は開戦にかなり抵抗したらしいが、開戦派軍部が使った説得は、大坂冬の陣。和議の際、豊臣は徳川堀を埋められ、夏の陣で滅亡したという歴史を説いていることである。この”堀を埋められる”というのがミゾで、開戦せずに豊臣のように滅びるか、七割から八割の緒戦の勝利に賭けるかという論であったそうだ。
この七割から八割の”緒戦の勝利”は、真珠湾やシンガポールなど実際にあったわけだが、これで日本は戦争を終結させることは出来なかった。それには、10月までにドイツがソ連を降伏させることが絶対必要であったが、冬将軍を味方につけたのはソ連だったし、イギリス侵攻も結局できなかった。アメリカは、真珠湾後、海軍力と航空兵力を大量に整える。最悪の楽観的な見込み違いとなったわけだ。
ところで、ドイツは、大恐慌後中国への最大の武器輸出国であったが、WWⅡが始まるとそれが止まった。中国の蒋介石は英米の武器援助(アメリカのパイロット付きの戦闘機も含まれる)を熱望し、手に入れている。共産党はソ連が当然ながら武器援助している。12月9日、蒋介石は満を持して日本に宣戦布告している。(日中戦争時には宣戦布告をしていない。)前述の胡適の読みどおり(米ソを中国に引き込む:本当はソ連も蒋介石は味方にしたかったはずだ。)になったわけだ。
…今回の画像は、以前作ったパワーポイントである。もしまた使う場合があれば、この中国の状況も視野にいれて改善しなければならないと思う。
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