2023年6月18日日曜日

日本人とドイツ人といふ新書

「日本人とドイツ人」(雨宮紫苑/新潮新書)を市立図書館で借りて読んだのだが、あまり読後感がよくなかったので、長らく書評を書く気がしなかった。最大の理由は、著者とのジェネレーション・ギャップである。著者は、部活におけるタテの関係を理不尽ととらえる。様々な日本社会の空気を読めない息苦しさから、ドイツに逃れた人物だ。著者の視点は理解できるし、賛同するところもあるが、読み進めるうちにだんだん不愉快になっていった。

まあ、とりあえずここは面白いと思った箇所を記録しておこう。漱石の「こころ」を読んで、日本人らしさとは、罪悪感に敏感で自分が悪いと自省しやすく、そのために罪悪感を感じる行動を避けることにあるという視点。日本人は悪いことをしても幸せになれないという考えが強い。1万円が落ちていたとして、ラッキーとネコババする人もいるだろうが、多くは、そこから生まれる罪悪感に苛まれるので拾得物として届ける。罪悪感を感じること自体にストレスを感じるわけだ。この視点自体は面白いと思うのだが、その後はまた不愉快な思いをしたので筆をおくというか、キーを止める。

先日、水道屋さんと知り合って、いろいろ話を聞いていたのだが、キツイが、かなり儲かる仕事だそうだ。ただ、ライフラインにかかわる仕事なので技術だけでなく責任感が要求される。日本の若者はすぐやめてしまうそうだ。外国人を雇うと、責任感まで要求できず結局うまくいかないとのこと。そうなのだ。昭和生まれの我々は、タテ社会の理不尽にも耐えてきた。だから責任感もつくし、忍耐力も身についてきた。要するに育てられたのだ。

これからの日本はどうなるのだろうか。この本を読んで不愉快になる理由は、そういう昭和の人間のストレスなのである。まあ、★0.5というところだなあ。

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