貧乏旅行作家という不名誉な称号を持つ下川裕治も60歳を超え、体力的な衰えを感じながら、30年前の旅に挑戦していく。その辺はあまりに同苦してしまうところであるが、どちらかというと、それ以上に変化した社会を描いている。
30年前というと、私が初めて一人旅(=貧乏旅行)にでかけたニューヨーク行を思い出す。「12万円で世界を歩く」では、「格安航空券」を使い、さらに(格安で乗り放題の)グレイハウンドの全米周遊パスで、全米を一周している。私も、エイビーロードという雑誌を購入して最安値の航空券を探し出した。ソウル経由のアシアナ航空だった。この航空券はリコンファーム(帰路に乗る前の確認電話)が必要で、ニューヨークの公衆電話から、アシアナ航空の支店に電話したことを記憶している。サバイバルイングリッシュでなんとか通じた。(笑)少し調べてみたが、当時のニューヨーク地下鉄では、トークンという5円玉のようなコインで同一料金で乗れた。今は、当然ながら使われていないようだ。うーん。まさに今は昔である。さすがに、アメリカのグレイハウンドを使うことはなかった。3度めのアメリカ行からはレンタカーを利用した。当時のグレイハウンド社のバスは、貧困層の人々の乗り物で、かなりリスキー‐だったし、下川氏の本の情報によると極めて長時間にわたり、過酷だと感じていたので避けたのだ。乗り場であるバスディーポもかなりリスキーだと言われていた。しかし、2度めのアフリカ行ではグレイハウンド社のバスを利用して南ア・プレトリアからジンバブエ・ハラレまで往復した。アフリカでは、グレイハウンド社のバスは最高級扱いで当然値段もそれなりなのだが…。ローカルの恐ろしげなバスがたくさん存在していたことを国境やジンバブエのバスターミナルで知った。きっと運賃は安いだろうが外国人には販売していなかったと思う。安い移動手段だったアメリカのグレイハウンドもかなり高くなっていたし、アジアでは、LCCや高速鉄道ができて、大きく様変わりしていた。さすが30年という月日の変化は大きい。もうひとり旅することもないだろうが、今や携帯電話でホテルや交通機関を予約し、グーグルマップで検索しながら移動する旅になっている。デジタルデバイドの私などは、もうついていけない気がする。
0 件のコメント:
コメントを投稿