国家には、普遍性を持った宗教または思想・歴史文化などの政権の正統性を証明する非政治的なものが必要で、これに政治的統治を任された「法人」としての政府が両立して成立する、という論である。ここまでのプリントで幾度となく触れているが、表に整理してみた。(上記画像参照)
これは、カトリックから戴冠をされてきたヨーロッパの国家に最も当てはまるが、これをG7で当てはめてみた。イタリアは、当然カトリックであり、イギリスとカナダは公定教会である英国国教会。カナダは英連邦王国の一員で、一時は国教だったカナダ聖公会(人口の約7%)がある。現在はカトリックのほうが多い(約30%)のだが、1931年の英議会でのウェストミンスター憲章により外交権のある自治領=独立になっているのでここに分類した。ドイツは公定教会であるルター派、アメリカは、各種のプロテスタント教会、フランスはカトリックへの反感があり徹底した政教分離(ライシテ)を行っており、哲学がその任にあたっているとのこと。…たしかに今や哲学の中心はフランスにあると思われる。きっと哲学科の多くの学生は、フランス語をやるのだろう。さて、日本はというと、岩倉使節団のヨーロッパ観察はするどく、キリスト教が憲法のバックにあることを見抜いたが、キリスト教を置くわけにも行かず、大日本帝国憲法にあるように、尊王の志士上がり故当然ながら天皇制に結びついたわけだ。中国は、易姓革命的な「天」がこの普遍にあたるかもしれない。今の中国は共産党という名前だが、マルクス・レーニン主義を置いているとは思えない。ロシア革命後のソ連は、まさにこのマルクス・レーニン主義を普遍として置いていた。これはヨーロッパでも一部の人々には普遍的な思想と認められていたからだ。では、今のロシアやウクライナは?というのが、その次の内容になる。
ロシアは、当然ながら、普遍性をもつのはロシア正教だが、ビザンチン帝国依頼の政教一致で、西ヨーロッパのような信教の自由や良心の自由がなく民主主義発達の因がない。ウクライナは、西部がポーランドやオーストリア=ハンガリー帝国の領土だったこともあり、ウクライナ東方カトリック教会やウクライナ語を使うウクライナ政教会(旧キエフ総主教庁系)が強いし、東部や南部などでは、ロシア語の語彙の50%を輩出した教会スラブ語を使うウクライナ正教(モスクワ総主教庁系)が強い。まず、普遍性をもった宗教に相違があるのである。親西欧か親露か、政府の正統性が揺れるわけで、ネイションを超えた暴力に発展するという方程式が成り立つ。それが、2014年のマイダン革命→クリミア併合であり、今回の紛争であるわけだ。
…ところで、陸自のヘリが昨日宮古島付近で「レーダーから消えた」という話だ。私は、おそらく何もわからないままになるような気がする。犠牲になられた方々の無念を想い、合掌するしかない。全く何が起こるかわからない世の中になってしまった。
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