資本主義のオルタナティヴと言えば、当然マルクス主義を想起するわけだが、マルクスの唯物史観による予言は見事にはずれてしまったし、今更社会主義・共産主義が資本主義の後にくるとは多くの人々は思っていない。本書では、専門家を招いて、近代国家論や社会主義の失墜などが講義される。
本書では、資本主義の大前提となる「希少性(全員が裕福になれない、あぶれる者をどうするか?という問題)」についての設問が設定されている。国家や資源、環境などを考える時の「救命艇状況」という典型的なモデルだそうだ。
タイタニック号のような豪華客船が沈没し、1500名が海に投げ出されている。近くを航行していた船が救助に向かう10隻の船には定員ギリギリで500名しか救助できない。①全員を救助できないとしてもできるだけ多くの人を救う。定員オーバーでもとにかく載せ、縁につかまらせても救助を試みる。②子供や女性、あるいは老人など手助けの必要な人から順にきっちりと定員まで乗せる。③早いものがちで乗せて、43名くらいになったところで早めに打ち切りその場を離れる。
この希少性をどうやって解決するか、どういうカタチで問題として取り組んで行けるかが、資本主義のオルタナティヴで一番大きなポイントとなるという。…なるほど。
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