2023年2月20日月曜日

司馬遼 十一番目の志士

市立図書館で借りた司馬遼の「十一番目の志士」を読み終えた。最初は、事実を元にした歴史小説だと思っていたが、完全なるフィクションである。宮本武蔵の流れを引く農民出身の剣豪・天童普助が高杉晋作と邂逅し、長州の暗殺者になっていくという話である。調べてみると週刊文春の連載小説だったようだ。

しかし、改めて思うに司馬遼の文章は何故こんなに読みやすく、また引き込まれてしまうのだろう、と思う。上下巻あるのだが、あっという間に時間が過ぎ去る。通勤時に読んだのだが、眠気も吹っ飛んで埋没してしまったのだった。

内容は幕末の蛤御門の変以降、全国的に長州の人間がお尋ね者となった時代を背景としている。あれもこれもというほど幕末の有名人が登場するが、エンターテーメント小説とわりきった。底流に流れるテーマとしては、奇兵隊という非武士的な軍隊に係わる国民国家の礎という視点が見え隠れするところもあったが、教材研究という視点では、ほとんど何の役にもたたなかった。とはいえ、長距離通勤の友としては最高だった。(笑)

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