久しぶりに書評をエントリーしたい。(まだ全部読んでいないが…。)だいぶ前、PBTの社長から、社会科の教師である私に読んでみたらいいと渡されたのが、「(邦題)24歳の僕がオバマ大統領のスピーチライターに?!(THANKS、OBAMA、My Hepey、Changey White House Years)デビット・リット著/光文社」である。大阪弁風に言うと(もちろん社長は標準語の使い手だ。)「文章がこねくり回されて読みにくいけどね。」と言われて渡されたのだった。(笑)
その意味は、読みだしてすぐわかった。ディテールにかなり凝っている文章なのだ。それもそのはず、彼は民主党のボラティアから、ホワイトハウスの高官の、そしてさらにオバマ大統領のスピーチライターとなったユダヤ人青年であったからだ。
今回のエントリーでは、前半部で私が面白いと思った箇所について記したい。
彼はホワイトハウス入りをする前に、クリントン大統領やゴア副大統領の元スピーチライター4人が設立したスピーチ原稿を執筆する会社の正社員になっている。最高レベルのライターから、頭韻(同じ子韻で始まる単語を続けて用い、音韻的効果をねらう技巧)はあまり目立たないが、タイミングよく使えば効果があること、演説者から一番伝えたいことを聞き出すテクニック、スピーチライターの仕事は芸術であり匠の技で、同じスピーチは2度とないが、流れるような長い文章の間にパンチの効いた短い文章を挟むのが1つのパターンになっていること、さらにユーモア好きの公人にジョークの微妙なバランスなどを学んだと書いている。(P66)
また、こんな話も。スピーチライターにとって重要なのは、聴衆の代理という役割である。スピーチライターと仕事をする人は何かの専門家である。専門家の話はたいていつまらない。ある分野に詳しくなればなるほど、一般人に理解できるように説明するのが難しくなる。スピーチライターが素人を代表して、一般人の集中力が続く短い時間をうまく利用して話を作る。(P146)
時間の制約中で、名文を考える。韻を踏み、ユーモアも交え、わかりやすいスピーチ原稿を仕上げる。なかなか面白い刺激的な仕事だ。現大統領は、極めて稚拙な中学生くらいの英語のスピーチだという記事があった。きっとスピーチライターも各省庁の高官が次々辞めるくらいだから、優秀なスピーチライターが逃げていったのかもしれない。だから、もっぱらツイッター?
2018年8月15日水曜日
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