体重が増えると1/4乗で時間が長くなるという話、体重の1/4乗に反比例して酸素消費量は減り、小さい動物ほど細胞の中で酸素をATP(アデノシン三リン酸:エネルギーを蓄える物質)を作り出すミトコンドリアが多いという話も面白い。しかし、私が最も面白いと思ったのは、「島」の規則という古生物学の法則だ。
島に隔離されて住んでいる動物は、大きなゾウではサイズが小さくなり、小さなネズミやウサギは大きくなるのだという。これが、「島」の法則である。島というのは捕食者が少ない環境である。1匹の肉食獣を養うためにはそのエサとして100匹の草食獣が必要になる。ところが、島は狭いので草の量が10匹分しかなければ肉食獣は生存できないわけで、草食獣だけが生き残ることになる。ゾウが大きくなった理由が捕食者に食われにくいからであり、ネズミが小さいのは物陰に隠れるためである。
ゾウは、大きくなるために骨格的にもかなり無理をしている。だから島では大きくなる必要はないのである。そのゾウは同時に1世代の時間が長い。その結果突然変異により新しい種を生み出す可能性を犠牲にしている。進化の袋小路に入っているといってよい。(事実、ゾウはアフリカ象とインド象の2種類になってしまった。)ネズミも小さい故にしょっちゅうエサを食べねばならず、心臓もいつも早く動いているので、血管に大きな負担をかけている、だから両者とも「普通の動物」に戻りたい、よって捕食者がいないなら、ゾウは小さくなり、ネズミは大きくなる。これが「島」の法則の一つの解釈であるそうな。
http://www.itmedia.co.jp/bizid/articles/0912/25/news046.html |
もちろん論理的な繋がりはないけれどとあるが、生物学の社会学とのコラボのような話であった。完全文系の私には、生物学は縁遠いのだが、実に示唆に富んだ話だったと思う。
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