2017年1月23日月曜日

IBTの話(76) 最終講義2

5限目は、いよいよF36の国費生Cクラス最終講義だった。もう明日は卒業式のリハーサルである。これまで、冗談でアラビックで挨拶したことはあったが、最後なのでマレー語で挨拶した。”Selamat Petang”(昼の挨拶:スラマッ・プタン)である。IBTは日本語学校である。あくまで挨拶は日本語であるべきだが、最後の講義だ。彼らは、そんな心遣いに素直に喜んでくれる。大ウケした。

SDGsの17目標を、マレーシアの立場で検討するこのアクティビティ(1月20日付ブログ参照)。各グループにマレーシアが長じている項目と、早急に対処すべき項目にわけて黒板に書いてもらった。意外に「貧困」については問題ではないという結果になった。女性の地位向上も各グループとも十分だと考えているらしい。「環境問題」は、およそ各グループで問題視されていた。
さらに他のグループと討論することになった。7つのグループなので、3・2・2に再編成しての討論。これまたなかなか盛り上がったのだった。意見の違う人とどうコミュニケーションをとり、納得させるか、あるいは意見を受け入れるか?これがこのアクティビティの重要なところである。結局、問題点だけを記しておくと、「教育問題」「環境問題」「消費問題」がそれぞれのグループの最も重要度の高い目標であるとの結論となった。

全体討論。各グループの代表が、自分のグループの意見を解説する。皆、男子学生だったが、なかなか説得力がある。嬉しいかぎりである。これに反駁や賛成意見を募る。どうやら、「教育問題」への賛否の意見が多い。ひとつには、彼らの受けてきた教育制度が、後輩たちでは大きく変化しているらしい。たとえば、自然科学はこれまで全て英語の授業だったのが、今は全てマレー語(科学用語も、日本語同様にマレー語化されているらしい。)になっているとか、暗記中心の授業から思考重視になっているとか。この変化の是非とともに、政策的な問題で急激な改革への批判的な意見も出た。もっと時間をかけての移行やその成果の分析が必要ではないかなどといった意見もあった。まさに、日本に留学するにふさわしい国費生としての討論だったと思う。

結局、タイムアップになったので、多数決でF36Cの最終結論を決めることにした。「環境問題」(5人)や「消費問題」(7人)を抑えて「教育問題」(10人)ということになったのだった。私としては、先日のエントリーで述べたように、結論云々というより、こういう議論を経験してほしかったのだ。彼らには国費生として、是非ともこれからのマレーシアを背負う人材に育って欲しいという強い思いがある。最終講義は、十分にその目的を果せたと思う。

授業の最後は"Terima Kasih"(ありがとう:トゥリマ・カシ)という、マレー語で締めくくったのだった。

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