2014年9月19日金曜日

”WICKED” その15 本番

いよいよ、3年生の舞台発表の日である。午前中4クラス、午後4クラス、計8クラスで競い合う。今年は、午前午後それぞれの舞台の前にCM上映がそれぞれ4クラスずつ。まずはオープニング。軽音楽部の演奏も、司会のビデオ、漫才も、団長8人のダンスも、全国大会出場のキレッキレッのダンス部の演技も例年以上に素晴らしいものだった。

少しだけ講評しておきたい。8クラス全部見たのは初めてだ。午前中のトップは、青団・武道科のレ・ミゼラブル。オペレッタ形式。真剣な演技で、歌も素晴らしかった。これまでの武道科の舞台演技の歴史を変えた素晴らしい舞台だったと思う。オレンジ団。テルマエ・ロマエを組み込んだオリジナル・シナリオでなかなか楽しい舞台だった。桃団。文Ⅰの進学クラスもオリジナル・シナリオ。クラスのメンバーのキャラを生かしたメルヘンだったが、いろいろな演出の工夫がされていて、クオリティの高いクラス劇だった。。そして、黒団。体育科で、吉本新喜劇をどうしてもやりたいと言っていた。まだ公式戦が続くゆえ、テキトーにやるのかと思ったが、極めて真面目に笑わせていた。抜群の呼吸だった。凄いな。最後に、保護者への感謝の手紙を入れるあたり、泣かせる場面も。

そして昼休みになった。我が4組は、後半30分を最後の練習に当てるという。最後の最後まで修正に余念がない。ところで、1人、M君が体調を壊し、まだ来ていない。朝から何度か電話して気が気ではなかった。だが、私は信じていた。そして昼休み直後に全員が揃った。頑張れM君。

後半のCM上映が始まった。我が4組(緑団)のあまりに時間をかけたCMに、会場が息を飲んだ。そして大拍手をいただいた。司会も、「緑団のCMを見て、(自分の団の作品が)ハズかしなったわあ。7月からずっとやってきたらしい。凄いな。」などと褒めてくれた。ちょっと嬉しい。

黄団の舞台も面白かった。鬼から見た桃太郎という変わった話だ。舞台チーフの生徒から、体育科でメンバーが揃わず苦労していると何度か相談を受けていたので心配だったが、生徒には大ウケだった。赤団。我が元2年5組の第一秘書ともいうべきY君が中心となっていた舞台だ。ここには元5組が多い。白雪姫が、シンデレラ姫となり、美女とい野獣の美女になり、最後に元に戻るという話。細かい演出もなかなかのものだ。100点満点のクラス劇だったと言っていいと思う。元5組、よくやった。紫団。ここも元5組が多い。中でもM君やK君がクラスを支えていた。隣席の担任S先生から、厳しいクラスの情報を聞いていた。それを跳ね除けての今日の舞台だ。よくやった。本当によくやったと思う。そして、いよいよ、大トリ、我が4組である。エルファバ役の緑色のドオランを塗るために女子5人ほどが早めに会場を後にした。そして、紫団の演技の前に残り全員が会場を後にする。いつもなら、私も付いて行くのだが、今回は生徒に全てを託すことにし、舞台後方の2階席でじっと動かず見守ることにした。

”WICKED” は、引き割り幕の前で、ドロシーとかかし、きこり、そしてライオンの4人が、この話を紹介することから始まる。舞台中央には、緑色の本。そこから、彼らに紹介された主人公2人が紙を破って飛び出てくるのだ。(一番上の画像参照)トリで、観客の集中力も切れた頃である。一気に舞台に引き込む演出だ。この本は太目の木枠を黒子が抑えている。黒色で固めた衣装に黒子頭巾。実は、この頭巾、オークションで落札したもの。雨の降る夜中にO君が振り込みにいってくれたものだ。や衣装小道具ひとつにも、ドラマがある。見事に成功した。そして歓声。

引き割り幕が開き、「♪エメラルド・シティー」の歌とダンス。体育祭で使ったポンポンも使い、素晴らしい演技だ。会場がどよめき、息を呑み見入ってくれている。そして大拍手。

話は、オズの魔法使いの部屋から始まる。仲のいいエルファバとグリンダ。でも彼女たちは昔、仲が悪かったのだ。場面が一気に転換する。過去の話になる。ここで、「♪大嫌い」の歌とダンスなのだが、この場面転換に、時計が登場する。暗転の中、アクリル板に穴を開け、50cmほどの時計版を作った。不用品の時計部品を中央にして、元の針にケント紙をつけ大きくした時針・分針を逆に回す。実は、この時計、2個のレフランプで光る。高さは3mほど。この大道具に会場はさらにどよめく。夏休み中、この時計製作には本当に苦労した。感無量である。

「♪大嫌い」も見事だった。その後、なぜ二人が仲良くなったかを演技で説明していく。グリンダがいらない帽子をエルファバにあげるのだが、それを好意と誤解したエルファバ。学校のシーンでは、黒子が黒板を持って大道具化する。さらに額縁をもった男の肖像。ちょっとした道化(クラウン)役でもある。グリンダがエルファバの気持ちを知り、改心して「どこへ行くの?」「親友のところ」というセリフで、サムズアップ(親指を立てるサイン)。もちろん、ピンスポットが追う。

そして「♪ポピュラー」素晴らしい。ほんと皆、この数週間、朝昼晩と何度練習したのだろう。そして、エルファバとグリンダはOZの部屋に戻る。今回の舞台のシナリオは、”WICKED” の中の友情を基本ポリシーに選んだ。その仲のいい二人は、OZのたくらみに異を唱える。魔法の本を持ち出したエルファバ。追っ手を向けるOZ。それを阻止しようとするグリンダ。最後のシーンである。

引き割り幕を開くと、エルファバは3mほどの高さに位置している。黒い服が拡がり、手に魔法の本。2人の友情を示す呼びかけと「♪自由を求めて」これは、歌のみである。最後の最後まで皆が練習していたのが、この歌だ。かなり難しい。残念ながら、練習のし過ぎで声もかすれがちになってしまったのだが、私は本当にジーンときた。後で、桃団の舞台チーフN君から「涙が出ました。」という感想を聞いた。凄い舞台だったと思う。

そしてフィナーレ。全員が出てきてもう一度「♪エメラルドシティー」をアカペラで歌い、「ありがとうございました。」と舞台チーフでシナリオライターのS君が言って緞帳が閉まっていく。最後の最後まで礼をしたまま頭を上げなかったのは流石。4組全員の真剣さのなせる自然な業だろうと思う。

と、いうわけで本番が終了したのだった。もちろん細かなミスはたくさんあった。もう一週間あれば、とも思う。だが、私は十二分に満足だ。一人も漏れなく、この舞台で大成長したのだから。

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