今日のタイトルは、井上陽水の「アジアの純真」からとったものである。ペキン・ベルリン・ダブリン・リベリア…。大阪人なら、どこがアジアやねんと、思わず1人で突っ込んでしまう歌である。(この歌詞の後ろにイランとアフガンがでてくるのだが…。)何故か、今日は授業で、このうち、北京とベルリンとリベリアについて話すことになった。北京とベルリンは現代社会、リベリアは地理Aである。
現代社会では、今戦後の国際政治について概説している。例によって思いつくままのアドリブ授業だが、長年の研鑽(?)と雑学のせいで、案外面白い授業になっている。1949年、北京は中華人民共和国成立に沸いたのである。授業を聞いている生徒諸君は、昨年共に天安門広場に立った仲間であるので、感無量である。<ちなみに、今日の画像は私がCanonEFで撮った人民英雄記念碑である。>スターリンと毛沢東の確執が、朝鮮戦争に影響していることなどを述べた。
一方、ベルリンの方は、ベルリン封鎖の話である。一年前の1948年のことである。東西冷戦のスターリン側からのジャブといったところ。様々な事件を概説しながら、東西冷戦の構造を明らかにしていくのである。
今日の着地点は、アメリカの社会主義への恐怖が、ついにドミノ理論と封じ込め戦略に昇華し、北極を中心にした世界地図から見ると明白になるところである。米、カナダ、アイスランド、イギリス、西ドイツ、トルコまでのNATOの円弧。日本・韓国・台湾とアメリカを結ぶ安保の円弧、オーストラリア・ニュージーランドとアメリカを結ぶANZASの円弧、さらに東南アジアのSEATO、中央アジアのCENTOと、見事にソ連・中国・東欧を囲みこむ軍事同盟の輪が完成する。この円弧と接するのが、北朝鮮であり、北ベトナムである。次回の授業で話すことになるが、この円弧の外に社会主義キューバが生まれた事が、戦後最大の世界的核戦争の危機を生むのである。生徒諸君は、この地図の円弧が完成すると、思わず、おおっと声を上げた。そう、これが冷戦の構図である。メルカトルの地図では判らない。
さて、リベリアである。これは地理Aで話した。リベリアは、アメリカの黒人奴隷への贖罪として建国された。例の明白な天命(9/11のブログ参照)を受けての善意あふれる”おせっかい”である。建国当初から、原住の黒人と軋轢が生まれたのはいうまでもない。このリベリア、鉄鉱石の産地として有名であるが、最も有名なのは便宜置籍船が多い事であろう。これも、アメリカの産物であることは、あまり知られていない。WWⅡの前期、イギリスの軍需物資支援要求に応じたアメリカは輸送の為に、同規格の船舶を大量生産した。これが、戦後リベリアに与えられたのである。ここから、リベリア船籍の船が増えたのである。リバティの名を国名の礎にしたり、モンロー大統領の名をとった首都モンロビアを名乗ったりのリベリアだが、最近は少年兵の話題で世界に悪名を轟かせてしまった。ダイヤモンドが産出したという”鉱産資源の罠”の典型だが、少年兵の話はあまりに非人道的である。私は、昔朝日新聞の特派員をやっておられた方の講演会で初めて聞いて、驚愕した。そのまま生徒に伝えた。それまで、大笑いしたり、質問にどんどん答えていた生徒が黙り込んでしまった。終礼のチャイムに救われた。しかし、これもアフリカに現実の1つ。伝える使命がある。
ダブリンの話を何か関連付けてしておけば、「アジアの純真」で綺麗におさまったのだが…。
2010年9月13日月曜日
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