https://j-ag.org/ag-article/ten-commandments-12/ |
この講で描かれているカルヴァンの精神世界を一言で表すと、(フランスの)ヒューマニズム(人文主義)を「立場」として受け入れることを否定したことである。宗教改革に賛成でありながら、その信仰の表明を避けてカトリックの中に密かに生きている人々をカルヴァンは、「ニコデモ派」(ニコデモは、パリサイ派の高名な指導者で、夜にイエスを訪ね、慕っているのに決断できなかった人物)と呼び、ヒューマニズムの決断のなさ、安全地帯にいることを強く批判した。
また、彼は「ヘブライカ」(旧約の研究)を行っている。ラビの解釈に是々非々で批判している。それ故か、ルターよりは同じく反ユダヤ主義であるものの穏やかである。
一方、当時、旧約研究家の中で、(カトリックの)十戒の番号を改めなければならないという動きがあった。ポイントは、第2戒の「偶像崇拝の禁止」である。聖像の設置を認めたカトリックと、(結局のところ改革できなかった)ルター派は、この偶像崇拝を第1戒に含めて(削除したといったほうがわかりやすい。)、隣人の妻を欲してはならないを入れて±0としている。正教会、聖公会、ルター派以外のプロテスタントは、偶像崇拝の禁止はそのままである。カルヴァンは、当然ヘブライ語聖書(タナハ)にあるように、偶像崇拝禁止と改めた。
…この十戒がカトリック・ルター派と、正教会・聖公会・カルヴァン派で異なる件は私も知らなかった。何度か言及しているカトリックとの近さでは、ここでまたルター派が接近してきた。制度的には主教制=神父と呼ぶ聖公会のほうが近いと私は思うが、この十戒の問題は大きい。ルター派のスタンスは非常に微妙である。
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