2024年3月7日木曜日

「公共」学年末考査のこと

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2年生の学年末考査の範囲は、「公共」における日本思想史+仏教と儒家に設定した。教科書ではかなりページ数は少ない。だが、仏教の縁起や大乗仏教の哲学がわからないと平安・鎌倉仏教がわからない。これらをベースに西田哲学と理解させるいう流れと、儒家の基本を教えた上で、朱子学・陽明学・古学の流れ、そして朱子学から派生した水戸学という流れを説き、国学の流れを挟んで、さらに水戸学から派生した尊皇攘夷思想を基盤にして、尊王と攘夷の思想がどう発展したかを説いた。尊王思想のほうは、岩倉使節団の発見である新政府を保証するキリスト教会の日本的代替としての天皇制の宗教化、その元での恩寵としての自由民権運動、さらに反天皇教としての社会主義や無政府主義を説き、攘夷のほうは、幕末の海防論から蘭学、薩長の攘夷失敗から生じた欧米留学と明六社などの欧米寄りの外交論、一方で大アジア主義などを、かなりメタな視点から論じた。これにキリスト者の流れと和辻哲郎と、柳田國男らの民俗学(=新国学)を加えて締めたのだった。

受験科目故に駆け足でやった3年生の倫理から見れば、それ以上の全力疾走である。「公共」は、倫理もしくは政経と合わさって共通テストの科目となる。倫理を選択する生徒には、そのエキスを、政経を選択する生徒には十分な学びを、私大組には教養として十分な知識を与えたつもりである。
余談になるが、最後の記述問題では、最も印象に残った日本の思想家を問うた。およそ60%位の生徒が和辻哲郎の間柄的存在を挙げていた。自分の経験と照らし合わせても妙に納得したと書いていた。学園は文武両道で、部活に頑張っている生徒が多いので、よけいに理解しやすかったのではないかと思う。

ところで、新カリキュラムに移行している2年生から、考査の試験内容の中で、思考性を問う問題と知識を問う問題でのそれぞれの点数の成績記録が求められる。この1年間、生徒には授業では伏せてきた文章や資料をもとに応用問題として問うたり、理解度を求めて深い設問をしたりしてきた。私のように非デジタルの採点をする場合、かなりややこしい。思考性を教育目標として文科省が掲げることに文句はないのだが、現場ではそれなりに大変である。

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