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カトリックやオーソドックスにおける聖人というのは、「私の願いを神様が叶えてくださるよう、執り成して下さい。」という感じの仲介者である。日本の八百万のような多神教の神のように、直接願いを叶えてもうらおうとしているのとは、決定的に違う。よって、神への「礼拝」「崇拝」ではなく、「崇敬」という語を使う。ちなみに、プロテスタント(英国教会は除いたほうが良いと思う。)では、多神教に似ているゆえに聖人崇拝を否定している。
カトリックでは、生前に目立った人道的活動をしたクリスチャンが帰天(死去)し、あの人は聖人ではないかという評判が生じた者を、まず「神のしもべ」と認定し、その尊者への祈りで奇跡が確認された場合、「福者」と認定され、さらなる奇跡が確認された場合、初めて「聖人」と認定されるそうだ。聖人候補として名前が上がってから、列福(福者の認定)、列聖(聖人の認定)されるまで、列聖調査委員会によって厳正な審査がなされ、最低数十年、中には数百年かかるケースもあるという。
ちなみに、サンタクロースは、4世紀前半、トルコ南部のミュラの司祭であったニコラウスという人物が元で、裕福な家の出であった彼は、国賓の隣人の娘たちに、夜中に金塊を投げ入れたと言われている。こういう人助けから、後に聖人に認定され、聖ニコラウスとなった。このオランダ名が「シント・クラウス」で英語読みしたら「セイント・クローズ」となる。アメリカ移民によって大人気の聖人となった。よって、St.の呼び名の一つである「サンタ」というのは、聖人を意味しているわけだ。
さらに、バレンタインデーの元になったヴァレンタインは、イタリアの司祭で、ローマ時代に弾圧され2月14日に殉教した聖人。中世には2月14日というのは鳥たちがつがいを作り始める日とされており、この2月14日に殉教した聖ヴァレンタインが「愛の守護聖人」と見なされるようになったことに由来する。20世紀後半のカトリック教会の改革で、実在が疑問視されれる聖人の祝日は取り消されていまったのだが、聖ヴァレンタインもその一人であるそうだ。
このような例は、地球より重い幼子のイエスを背負い川を渡った「旅人や交通安全の守護聖人」クリストフォロス(クリストファー・コロンブスの名になっていたりする。上記画像参照)、「ドラゴン退治」ゲオルギウス(ジョージの名前由来)など、まだまだある、著者によると、このような伝説的な聖人をクリスチャンは過去に存在したと信じているわけではなく、日本文化における桃太郎や浦島太郎のような心の拠りどころ、精神性になんらかの影響与えている、と説いている。このような聖人伝と国名や地名、人名がつながっているという人類史上の事実は、たしかにあるわけだ。…つづく。
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